Lime JuiceLimeの活動日記
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梅干と梅ジュースの仕込み 科学の視点から・・・ 15:17
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    6月18日(日)の行動記録です。

    梅雨・・・今年はこの季語が当てはまらないような、過ごしやすい気候が続いていました。

    天気図を見てみると太平洋の下には長く連なった梅雨前線が控えているが、なかなか押し上げられてこない・・・なんでだろう?

    いつになった梅雨らしくなるのでしょうかね・・・?

     

    ちょうどこの時期になるが「梅の実る頃に降る長雨」なので、梅雨という・・・なのでスーパーではダンボールに入った梅の実が沢山並んでいるのを目にする事も多いが、何よりもあの独特のエステル臭の芳香がなんとも香しいです。 これが店頭に並ぶのも、この時期ならではの歳時記であります。

     

    この梅の実と、よく似た匂いがする物に杏仁=あんにん(漢方薬としての名前=キョウニンと呼ばれる)がある・・・杏仁豆腐のあの独特な風味なっている成分

    本来は咳止め薬などに使われる漢方薬の一種で、使用量を守らないと中毒を起こすので要注意な物。 漢方薬としても古くから「毒性分のある薬」との認識があり、配合する場合は分量を慎重にはかって取り扱われています。

    杏仁は梅科のアンズの種子の中にある仁(さね=通称:仏様)を使うが、梅でも仁を取り出すと杏仁の香りがするので面白いです。

     

    毒性と言えは、青梅には毒性がある事は良く知られています。

    ミステリー小説にもありがちな、「青酸」が含まれていますが、ミステリー小説にありがちな「青酸カリ」では無くて、青酸の化学構造が含まれた、「青酸配糖体」というちょっとした糖類の形で含まれてます。

    もともと、梅の種子形成をするときに、小さな実を外敵から守るために進化した植物の防御作用と言われています。 その為、実がなり始めの小さなものほど、数十倍の青酸配糖体が含まれてます。 なので熟すほど青酸配糖体は少なくなってゆくといわれています。

     

    毒の効き目は、大人だと200個〜300個ほど食べないと中毒を起こしません・・・子供でも100個ほど食べないと中毒にはならないそうで、あのまずい青い梅をそれだけの量を食べる事さえ、そもそも不可能です。

    しかし、カメムシ類がこの青梅の実の汁を、吻で刺して吸っているので、ヤツラは体の中には青酸配糖体の分解できる酵素か何かを持っているのかもしれませんね。

     

    前日は合同採集でしたがさほど疲れも残っておらず・・・知り合いの家に梅の実を採りに行きました。

    家畑には立派な梅の木が5本程度植えられて、実がたわわに実ってましたので・・・早速、私の両親と息子と私で、とにかく採れるだけ採りました。土嚢袋に4袋と今年も十分な収穫量でした。

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    家では毎年梅干をずっと作り続けていて、1回の仕込み量も40kgと大量に仕込みます。 なので・・・こんな環境に育った私も子供たちも、家族みんな梅干大好きなんです。

    写真は梅干用・・・そのほかに梅ジュース用にと梅を分けます。

    梅干は梅の実に付いたヘタ取りが、とても手間がかかり大変な作業です。 みんなで手分けをして取り掛かり、3時間ほどで終了しました。

    梅干用はこれから塩漬けをしてから、赤シソを投入して、梅雨明け頃の7月後半からの夏の太陽で天日干しになります。

     

    今回、私は梅ジュースの仕込みを行いました。

    実は息子が今の学校の敷地にある、梅の木で、すでにちゃっかりマイ・梅ジュースを仕込んでいたみたいで、友達に作り方を伝授していたようです。 できたら学校でふるまう予定をしているという事を話してくれました。

    まさに・・・「門前の小僧、習わぬ経を読む」を素でやってますね・・・面白いです!

    物心ついた時から、この時期になると周りが忙しく梅干つくりや梅ジュースの仕込みを行うのを、子供ながらに見ていたのでしょう?

    だれから教わった事でもなく、覚えてしまった結果でしかありません。 まさにことわざ通り・・・(笑)

    こういう経験は自分で試してみるのが一番・・・上手くいけばラッキーで、できなくても経験として必ず自分の知識の引出しが増えること間違いなしです。

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    梅ジュース用 約5kgの梅

    目打ちを使って、ヘタを取り除きます。 この部分がある事で、綺麗に洗えなくて、コンタミによって雑菌やカビが生える事につながる事が多く、手抜きできない部分です。

    日本人は仕込み作業に力を入れて、後は自然の成り行きに任せる食品を多く作ってきました。 酒造もそうですが醤油や味噌も同じです。 とにかく仕込み作業の際はすごく大変ですが、その後は時の流れと自然の恵みが成熟を施すような食品が、この日本にはまだまだ沢山あります。

    何事も段取りや仕込みを大切にすれば、後は上手く行くという事を身を持って知ることになります。

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    この黒い部分がヘタです。 ここには花芽の時の雄しべの枯れた物や、茎が付いています。

    なので、この奥がとても洗いにくい事もあります。

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    千枚通し(目打ち)を使用して、くるっと掻き出すように取り除きます。

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    この様にきれい取れれば後は洗うだけ。

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    水で綺麗に洗った梅の実をビニール袋に詰めます。

    その後ビニール袋にホワイトリカー(焼酎)を少し垂らして、口をしばってから、中の梅を転がすようにして

    ホワイトリカーのアルコールで梅を消毒します。

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    消毒が完了したら、ホワイトリカーが残ったまま、そのままフリーザーで凍らせます。

    ここで、えっなぜ凍らせる? って思った方が多いと思います。

    これをやる事で、梅からエキスが染み出しやすくなるんです。 

    じつは、梅からエキスを出しやすくする作業には、もう一つあって、梅の実1つ1つに、フォーク・爪楊枝や千枚通しを使って表面に穴を数か所開ける方法もあります。 

    しかしこの方法はエキスが出やすくはなりますが、綺麗に洗った梅を触る事になり、穴あけに使った器具からカビなどが侵入する危険性があったり、穴の中に再び汚れやカビが侵入する事があるんです。 なのでうちでは科学的?に有効な方法を採用しています。

     

    冷凍と言う作業は、動植物の持っている細胞内の水を凍らせる方法です。

    急激に凍らせば細かい氷の結晶ができて、細胞は壊れずに冷凍されますが・・・家庭用のフリーザーのようにゆっくりと凍ると、氷の結晶が大きく成長することで、動植物の持っている細胞膜や細胞壁が破壊されます。 なのでそのまま解凍されると、もともと細胞の中に含まれていた物が外に流れ出てしまう事が発生します。

     

    マグロの刺身を家庭の冷凍庫で冷凍して解凍すると、壊れた細胞からドリップと言われる赤い液体が流れてしまう現象は、誰もが一度は目にした事があると思います。

    ドリップには、うまみ成分も沢山含んでいるので、味の面からみても栄養面から見てもいまいちな結果になります。

    因みに遠洋で採られたマグロは、船の専用の冷蔵庫にて−60℃で一気に凍らせるために、氷の結晶が小さくなり・・・細胞が壊れにくくなっています。

     

    なので梅の実を凍らすのは、この負の作用を逆手にとって、エキスを染み出しやすくする方法なんです。

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    冷凍した梅の実・・・ガチガチに凍って、凍結による水分の膨張で表皮がパンパンになってます。

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    そこで、今度は氷砂糖の出番です。

    私の家での場合は梅2kgの割合に約1kg程度の氷砂糖を使います。

    容器をホワイトリカーを使って洗浄した後に、凍った梅の実を、ガラス容器を割らないように、できるだけ素手で触れない様に中に詰めます。 その際に、梅を入れたら次は氷砂糖を入れるという作業を繰り返して、交互に詰めてゆきます。

    この氷砂糖は、大きく分けて3つの作用があるんです。

    ,泙困牢鼎議汗亜覆海譴話でも解ると思います)

    凍った梅の実から、エキスを抽出する役目(浸透圧抽出)

    9眷仕戮療分による、防腐作用(高浸透圧による防腐性)

     

    ,話でも解ると思いますが、以降は上手く説明できる方は少ないと思います。

    簡単に要点のみを書きます・・・

    ⇒榔佞惑仕戮稜い方から高い方に移動する作用を利用しています。 砂糖に接した梅の実は、細胞膜や細胞壁を通して、梅の実自体が持っている体液の濃度より高い砂糖の方に移動します。 凍らされてズタズタになった細胞膜や細胞壁はただでさえ、自らの水分を保持することは難しくなっている状態なので、そこに濃度の高い物質が来ることで、そちらに水分を持って行かれてしまいます。

    その際、水分だけでなく梅の成分も一緒に引き抜かれてしまうため、梅からエキスを抽出できるという事なんです。

    キュウリや菜っ葉に塩をかけても同じような現象が起きますよね・・・漬物の作り方も塩に変わるだけで一緒です

    漬ける時に使う砂糖を、塩に替えれば梅干の漬け方に変わります。

     

    砂糖で防腐・・・

    砂糖溶液は40%以下の場合は、微生物やカビとって、絶好の栄養源になり繁殖を促します。 しかし濃度が40%を超えてくると、先ほど△農睫世靴真仔圧の影響で、自らの細胞内にとどめておきたい水分などが、絞りだされてしまい、微生物や・カビでも生きていくことが出来なくなります。 更に砂糖溶液が60%を超えると糸状菌や酵母までもが生育不能となってしまいます。 その作用を利用してこうしたシロップ漬けを作ったり、ジャムを作って保存する技術が成り立っているんです。

    因みに60%ギリギリの濃度で調整すると稀に酵母菌が生き残り、生育することでアルコール発酵に移ってしまう事があります。

    その場合は、大量の砂糖を足すか・・・もしくは70℃程度のお湯に2時間以上保持して、酵母を殺す作業を行います。

    温度を上げて酵母を殺す作業は、酒造の「火入れ」の様な事と思っていただければ結構です。

     

    因みにビールは、麦芽中の糖を酵母に食べさせて、発酵させて糖をアルコールに転化させてます。 実はこのような状況が続いた場合、酒になるのはいいのですが、発酵中に炭酸ガスが大量に生成します。

    密閉度のいい瓶を使うと、瓶が破裂してしまう可能性があるので、中の溶液が泡立って来ているような状況を確認したら、時々少しだけ開封して、ガス抜きを行わないといけません。

     

    因みに海外では自家製ビール作りが盛んです。 日本でやると間違いなく酒税法に引っかかります・・・特に原料が米・麦・葡萄を使ったものは作ってはいけません。 例外的に梅酒などは、「焼酎に梅のエキスを抽出」するので、醸造と見とめられなく除外されますが・・・シロップ漬けした梅ショロップが、勝手に発酵してしまった場合でも、妖怪の仕業とかいう理屈は通用しなく・・・「みなし製造」とみなされアウトです。 

    ましてや、たまたま自然発酵して出来てしまった梅の酒を、これまた人に振る舞ったりすればこれもアウトなので、自作した「蘭引き」や「ポット・スチル」で蒸留してシェリー樽に仕込むようなマネをするのも絶対にダメです・・・(笑)

    このあたりは知識だけで止めておいた方が無難ですが・・・小学生の高学年の時に何気なく読んだ、宮沢賢治の「税務署長の冒険」は読み物として密造酒を理解する上ではとても面白い読み物でしいた・・・(フィクションらしいですが・・・)

    大人になってから、更にこの読み物の面白さが判った懐かしい思い出があります。実は私はとても大下戸でお酒は苦手なんです。 

     

    さてどうでしたか、たかが梅シロップを作るだけなのに、化学の一般概論から生物学まで、これだけの科学的な要素が満載です。

    多少無理やり感はありますが、まったく的外れではないので、覚えておくと何か役に立つかもしれません。

     

    梅シロップの状況は、経過を見て報告しようと思います。

     

    ではでは・・・

     

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