Lime JuiceLimeの活動日記
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骨髄バンクへの登録 番外編・・・HLAの壮大な物語 17:15
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    ☆2019.05.09 23:30 画像の追加と誤字の修正をしました。

    ☆2019.05.16 14:20 末尾にこの記事の内容に関するポリシーの追加を入れました。

     

    少し長いですが最後まで読んで頂けると嬉しいです。

     

    もう随分前のニュースになるが、私の感情に激震が走った!

    もうここにあえて書く必要もないのだが、それは水泳の池江璃花子さんが白血病になり、現在闘病している事だ。

    実はこの記事を書いたのは随分前になる・・・何故か色々と思い入れがあって、ずっと「非公開」にしたまま、ブログの投稿管理のアーカイブに入れたままにしていた。

    最近、このアーカイブを見直して、ここで更に公開するかずっと悩んだ末、加筆修正を施し気持ちの整理を行って今頃になって公開することにした。

    なので彼女(池江さん)のニュースに関してはもうみなさん周知の所だと思う。 そしてなんと歌手の岡村孝子さんまでが白血病になったというニュースが飛び込んできたことにはびっくりしている。

     

    以前からこのブログ内でも骨髄移植の事を何度か書いた事あるが、私のような極々普通の一般人が「骨髄バンクの事」いくらを語っても、なかなか伝わらないのはしょうがない・・・不謹慎ないい方になるが、こういった著名人の病気告知による効果は、このバンクの周知に絶大だという事をあらためて知る事になってしまった。 これはこれでOKなのだが・・・

     

    寒空の下、献血バスの隣に設けられた折りたたみテーブルで、ドナー登録の説明員のボランティアをしていても、朝から夕方までやって1〜2の人が登録してくれるのがやっとだ・・・そもそも献血をしてくださる人に声をかけるので、基本こういったボランティアに関しては皆明るいはずなのだが、やはり登録となると慎重になるのが当たり前の事、説明して「それでもだいじょうぶ」かと聞くとそこで躊躇する人がいるのもいたしかたないと思う・・・それならまだいい

     

    少し古いが・・・このニュースをきっかけに、ピーク時には通常の50倍もの数の骨髄バンクへ問い合わせが殺到しているらしいが・・・登録の際にはけっして軽いノリでは登録をしていけないと私は感じているのが最近の思いだ。

    バンクへの登録は、年々増えてはいるが、様々な理由があって「実際に移植まで行くのはそのうちの5〜6割に満たないという現状があるのだ・・・」

     

    「登録してドナーに選ばれても最終同意までは、いつでも断る事は可能で、一切の強制はされない。」規約にはそう書いてある・・・しかし土壇場で断れば・・・患者側からしてみれば折角見つかったドナーが、ドナーの都合だけで断られるのは、再び余命宣告をされたようなことになってしまうのではないか?と考える事もある。

     

    私たち健康体の人が骨髄提供を「断っても」この先自分の身に何か生死にかかわるような危険な状況が起きるわけではなく、むしろ健康体に針を刺して提供する方がリスクあると考えるのが一般的な思考かもしれない・・・

    しかし患者側の思いは全くもって違う、骨髄移植を宣告された時点ですでに病気は難しい方向に進んでいる中で、折角見つかったドナーに断られる事は、更に精神的にも苦痛を強いられているのではないかと感じてやまない。

     

    悪い言い方をするが、最終同意の際に「ドナー側がビビって断る」と言う事が今でもあるらしい。そこには個々に致し方ない理由もあるのは重々承知の上でこの文章を書いている。

    実は、この先の「最終同意書に捺印」をすると、それから先はドナー側の身勝手な考えでは断れなくなる・・・なので弁護士立ち合いで最終同意という厳粛な場が設けられる。 ここで色々再確認されるんで、本人が踏ん切りが付けられなくなったり、同席した家族がビビッてという場合もかなりあるらしい。仕事を休めないというのも大きな理由になっていると聞く・・・

     

    最終同意が決定すると。それと同時に患者側はほぼ致死量に近い放射線や、抗がん剤で体の中に残っているガン化した造血細胞はすべて消し去られる・・・(かなり簡単に書いてます)

    その為、抗体による自己免疫機能(体が持っている細菌やウイルスなどの外敵から身を守る機能)は白紙になり、もしその白紙の体に細菌やウイルスの黒いインキが一滴でも落ちれば、食い止めるすべを持たないその紙はたちまち真黒に染めるがごとく、細菌感染して命を落とす事になる。 そのため「前処置」といわれる処置をされた患者さんは、適合したドナーから健康な造血幹細胞が含まれる骨髄液を受け入れるまで、クリーンルームで待つ生活を余儀なくされるのである。

    そんな事があってはならないのだが、もしドナーが土壇場で不用意に交通事故にでもあって死亡する事になるものなら、替りが見つからなければ下手すればその患者もおのずと後を追う事になりかねない。

     

    バンクに登録して実際に候補に選ばれると、まずはじめに家族への同意が必要となり、ここで配偶者もしくは両親の承諾が必要となる。

    そこでまず自分自身が中途半端な知識であると、家族を説得できなく前に進めなくなる。 言い方は悪いが「事なかれ主義の親や配偶者を持つ」とさらに事態は深刻!「なぜあんたが危険な事をして”他人”にそんな事までしないといけないの?」と言われ、自らの自尊心も折れて疲れ果てたという人もいると聞いた事がある。(後で書くが・・・実際には自分と型が合った相手が、そこではただの他人ではないのだが・・・)

     

    それと、働いている人の場合は、検査や自己血貯留の為に移植前に平日に3〜4日の休みを取得する必要があり、さらに移植時には短くても2日〜3日の休暇を取る必要も出てくる。 それを会社に説明して承諾を得るにもそれ相当のハードルとなるだろう!

     

    私は2回の提供をしているが、こんなエピソードがあるので書いておきたい・・・(たぶん正攻法ではない事も承知している)

    1回目の時、会社の担当者からは「単なるお前の自己満足!」「会社にとって何のメリットも無い」と散々言われて、最終的に他の担当者が一切の責任を持つという方法で、無理やり納得してもらったイヤな経験をしている。

    だから2回目の候補に選ばれた時は、「辞表を書き」懐に忍ばせて会社との交渉に挑んだ。今となっては懐かしい思い出だ・・・

    まぁ、こういう時に限って担当者が「それはそれは理解ある若い人」に変わっていた事もあって、まるでドラマのワンシーンのように、懐の辞表を担当者の顔面に叩きつけて、応接室のドアを颯爽と出てゆくなどというかっこういいシーンも見ること無く、これまたあっさりと受理された・・・(笑)

    思いと裏腹に、現実というモノはそんなかっこいいドラマ仕立てになるわけでなく、”痛い男”の単なる妄想となっただけなのだが・・・(笑)

    まぁ会社にとってもメリットが無いシステムも今後は見直す必要があるのではないだろうか? これからの人手不足の世の中、中小企業ではより深刻な問題になってくるのは間違いないのではないだろうか? 

    例として、そのような社員を出した会社には税制優遇するなど、ドナーにもらえる感謝状を会社の社長や優良企業表彰するなど・・・方法は考えればいくらでもあるのではないだろうか?

     

    なので最近、登録に関しては、中途半端な覚悟で登録してほしくないという気持ちが私は強い。もう決意がガチガチに決まっているくらいなら安心ですが・・・(笑) 

    まぁなんとか「力になりたい」と言う気持ちがあれば募金でもいいと思う。実際に骨髄バンクへの登録には年齢制限もあるので、ご年配の方の場合は、特にこの年齢制限に引っ掛かるので登録もできない可能性が高い、もしそれでも何とかお気持ちがあれば、バンクへ募金をする事もそれはそれで十分な気持ちとして頂戴して頂けることは間違いないと思う・・・寄付などは税制優遇されるので、特に企業からの高額寄付もきっとありがたがれるのは間違いなだろう。

     

    患者側は白血病と診断されると、すぐさま精密検査されてどの型の「血液のガン」なのか判断され、大人の場合は家族や本人に告知される事が多い、昔のように隠しておいても過酷な治療を説得する際に障壁となるので、治療する側からもこの方がこの先の処置に関して色々とやり易くなるという、治療する側の意向も含まれていると思う。

    しかし子どもの場合は、本人には告知されない場合がある。それは年齢的に幼いと病気そのものを理解できなくて難しいということも含まれ、不必要な生死感を感じてほしくないという親の希望も取り入れられるのが普通だ。

    しかしこの情報社会!治療に入った段階である程度年齢がいっていると、自分で調べてしまう子も出来てしまい、それがかえって家族との溝になる場合があるので、医師も両親もその告知に関する選択に凄まじいほどの葛藤を抱える事になると聞いた。

     

    (以下の写真は、私が2回目のドナーに選ばれた時に、患者側の家族の気持ちを理解するために購入した本)

    この本・・・実際には、患者の家族が白血病を理解するために購入される事が多いとされているが、私の知り合いの子(元患者)は、たまたま病室に置いてあった母親のカバンにこの本を見つけて自らの病気を悟り、子供が親に対して気を使ったという、これまたもの凄いエピソードを聞いたこともある。中学生で死を覚悟していたと聞いた。 おぃおぃ凄すぎるやろ!それで隠しているつもりの親の気持ちに寄り添ったってか? その年齢の自分ならどうしているだろうと色々と考えさせられる事が多かった。

    IMGA0339.JPG

    抗がん剤の効力も無くなってくると、いよいよ最後に待ち受けるのはこの骨髄移植なのだ。 病気の治療法としてはかなり確立していて現在では色んな選択肢があり、治療法も多岐にわたるが、最終的にはこの骨髄移植かもしくは臍帯血移植になる場合が多い。

    それと患者の状態が個々に違うので、治療する側も専門医のさじ加減の難しさもあるらしい。

    ある意味この骨髄移植での治療が生と死の境界線になっている事は間違いない・・・ドナーが見つからなければ、その病気の進行を抗がん剤などで少しでも遅くしなければ、そこに待っているのは迫りくる死しかない。 たぶん一般に公にされてはいないが、ドナーを待ち続けて、見つからず亡くなった患者さんもいると思う。

     

    患者の家族は、すでにここに至るまで相当な医療費の出費と精神的苦痛の状態に置かれている。

    それが幼いわが子の場合、特に両親の苦悩は計り知れないだろう。

     

    実はドナー候補を選ぶ際も、患者側には相当の費用がかかっている・・・選ばれたドナーさんが病院に通う再も交通費が支給されるが、それもすべて患者側の負担である。 ドナー候補は私の提供した頃は3人まで選べれると聞いていた。

    ある段階までは、その3人分の検査費も患者側負担になる、とにかくドナーが最終同意まで行う検査や自己血の貯留などの、そして、移植における手術の費用、とにかく医療行為の費用すべて、ドナーの入院費・病院での食事などが患者側に請求されているのが現実である。その中ではバンクからも費用負担がされてものもあります。

    なのでそれを知った私は、コーディネーターさんに、そんな微々たる交通費の請求はしたくないと受け取りを遠慮させてもらっていた。

     

    それでも患者や家族は、ドナーからの差し伸べられる手をいつまでも待ち望んでいる・・・

    日本は島国なので比較的骨髄の型は合いやすいと聞いている。血液の輸血と違い骨髄移植のマッチングに使われるのはHLAという白血球の型である。

    それは一般的に耳にする、輸血の際に行われるクロスマッチ(交差適合試験)のA・B・O・AB式と(Rh+)・(Rh−)の血液型とは違い、HLAという白血球の違いで識別されマッチングされる。最近はそこに更に遺伝子的マッチングを加えてより合いやすい型を探せるように進化していると聞いた。

    その白血球の型(HLA)の組み合わせでも数千から数万通りあり、血縁関係にない人とのマッチングは数万から数十万人に一人と言われている。

    この世に人が存在していた時代から、白血球の型は体に入ってくるウイルスや細菌と戦い打ち勝つために、より色々なHLA型を作り進化してきた・・・それがこのHLAの型が多様になっている事につながっているのである。

     

    実は余談になるが、そんなHLAの型の中には特異的に強い遺伝性の引き継ぎを示す型が存在していて、その型(ハプロタイプという)が合う相手とは、「遠い遠い昔に自分とは何かしら血縁関係がある人」といわれる事が研究でわかっている。(私は学者でもなく本で読み聞きしたことから、簡単な表現で書いてますので誤解が無いように・・・)

    そのため・・・その手元に骨髄バンクから適合のオレンジ色の封書が届いたら・・・それはただ単なる何かの偶然だけではなく、もしかしたらそれは「全くの他人を助ける事でもはなく」大昔に何かしら自分に関係がある人を助ける事になっているのかもしれないといえるのだ!

    IMGA0426.JPG

    そして、自分の骨髄を移植した相手は、血液型もドナーの血液型と同じになり、それは自分の配偶者と分けあった、自らの子供たちよりも、相手にはさらに遺伝的にも濃い血を受け継ぐ事になっている事は余り知られてはいないのも事実である。

    血液の遺伝子は全くのクローンになる・・・

     

    それは皮肉な事に、どちらかが病気になった事で、お互いが時空を超えて初めてここで出会う事になるのである。 

    この先、顔もみえず、名前も知らされることもないが、移植用のバックに詰められたドナーから取り出した「赤い液体」だけを通して、この現世で遠い遠い親戚にめぐり合える事ができるのです。

     

    そしてその健康な側の人のHLAを使って、病気になった相手を助ける事が出来る唯一の「チャンス」がこの目の前に来ているのだと思ってください。 死の淵で助けの手を差し伸べている、病気の相手の手を握り締めグイッと自分の胸元に引き上げれるのも、このドナーに選ばれた者たちの役目でもあると感じます。 そりゃぁ多少は痛いかもしれない!色々と面倒かもしれない・・・しかし・・・すぐ目の前に倒れている人が「助けて!」といって伸ばしたその手を私は振り払う事は出来なかっただけかもしれない。それに人を助けるのに理由なんてないといつも思っている。

     

    適合した患者がドナーからの健康な骨髄を引き継ぐ、そんな事の偶然が何故か必然だったかのように感じるのは何とも感慨深く、もし今に至るまでに、どこかでその引き継ぎが途絶えていれば、もしかしたら今の自分はこの世には存在していなく、自らがこの現世に存在しなかったと考えるのは乱暴だろうか? まるで何か映画のような展開!

    もしあなたのHLAの型が誰かと一致したならば、この骨髄移植を通じて、ここには時空を遡り過去の子孫にめぐり合う事ができたという、そんな壮大な物語をこの骨髄提供の経験から感じる事ができるチャンスでもあるんです。

    私にはそんな顔も知らない血のつながった相手が、この日本のどこかに二人もいます。その方は私たちの子供よりも濃い血を受け継いでいる方たちなんです。妊孕性(にんようせい)さえ残っていれば、結婚して更にその生まれてきた子供たちに、自分の遺伝子が引き継がれ、それで更に多様なHLAが形成されるのかもしれない。

    今でも、ふと物思いにふけるときには、そんな二人が元気で暮らしている事を考えてしまいます。

     

    今の事に流されること無く、登録はほんとよく考えてからの方がいい・・・このドナーになるという事は、これからめぐり合う事になる、助けを求めている相手の事も考え、それなりの覚悟は必要と思った方がいい、それはお互いの為になり将来自分の為でもあると思いたい。

     

    余談

    じつは最近、興味深い研究がされてます、HLAに関しては人の知性や個性、そして男女の相性にも関係が深い事が解ってきています。
    HLAは匂い(特に尿)に関係していて、マウスは相手の尿の臭いを嗅いで好き嫌いを選ぶことが、すでに研究で判明しています。

    人間の場合でも、「男性の着たTシャツの匂いを女性に嗅がせて、自分との相性を選んでもらうこと」が実際に研究され実証されています。これにはこの白血球の型である「HLA型」の違いが関係しているらしいのです。

    この文章を読んでいる男性陣・・・「おぃおぃマジかよ・・・」って思わず着ている自分の服をクンクンしたくなりますが(笑)

     

    もし今後、個々に持つHLA型で男女の相性診断ができたら、それは占い以上に現実味のある男女の相性診断の面白い結果が出てくるのかもしれませんね。

    もしも、あなたの彼女や奥さんが「ねぇ〜汗臭いよぉ・・・♡」って言ってたらそれはある意味、愛情感情の裏返し・・・もうHLAの媚薬でメロメロの状態なのかもしれません・・・ほんとヤバイです(笑) 

    これは女性しか感じられない感覚らしいですが・・・(笑)

     

    因みに娘の言う「お父さんクサイ」とは意味合いが大きく違うので、これまた勘違いで突っ走るのは禁忌です・・・(笑)

    これについては後日お話しできればと思います・・・

     

    ブログ内関連記事

    http://limejuice.jugem.jp/?eid=231

    私が経験した骨髄移植時に撮影した実際の手術写真があります。

    骨髄採取では、全身麻酔下でこんなことをするので登録を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

    私の場合、採集部位の痛みは打ち身程度の鈍痛で済んでいます。

     

    今回も長文読んで頂きましてありがとうございました・・・感謝です。(^O^)v

     

    追記

    後日談・・・この記事の内容については、骨髄バンク事務局でも確認して頂き、一部文章の添削を行いました。バンクの方からも一部以下の但し書きの記載を要望されておりましたので追記させて頂きました。

     

     本文の内容については、私が本や文献などで見聞きした内容を基に、骨髄提供に初めて関わる人にとっても身近な解りやすい読み物として、また心に残ってもらえるようなモノに再構成して記載しております。

    その為、絶対にそうだという事ばかりではありませんので、誤解をされないようにしてください。 そして読んでもらい興味があれば自分でも調べて頂くことで、骨髄バンクの事をより一層身近に感じてもらえると、ボランティアやバンクの関係にかかわる方、そして実際に闘病されている方に向けても、少しは希望となる事を期待しております。

     

    ではでは・・・

     

    | 骨髄バンク ボランティア活動 | comments(8) | - | posted by Lime (ライム)
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