Lime JuiceLimeの活動日記
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合成鉱物・・・の楽しみ 16:31
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    春の季語として歳時記には、「花曇り」と言う言葉があります。 このちょうど桜が満開の頃に、それとはうって変わって曇天の日が多くなります。 季節が移ろおうとしています・・・ 桜は晴天の日よりもこの曇天の方が、日本人にはより淡いピンクが冴えるように見えると言われています・・・

    友禅染で着物に桜を描くときや、日本画で桜を描くときにも、背景色はあえて灰色にするという事を本で読んだことが有りました。

    これは日本人が長く持ってきた感性に沿った色彩感覚での見え方であるのかもしれません。

    さてもう少しすると、「花散らし」や「花雨」という歳時記が合うようになります。「花散らし」にはちょっと艶っぽい別の意味もありますが・・・。f(^_^;)

     

    その美しい色合いの・・・鉱物の結晶も、その由来するイオンの状態で結晶の形や色が変化します。自然界ではもっと不思議でそこに放射線の影響を受けたりしている為に、カラーセンターで結晶が色付いたりする物も有ります。

    人工的に色を付けれることが判ってからは、昔から人工の宝石を作るために色々と試行錯誤してきました・・・酸化アルミに酸化クロムを混ぜると合成ルビーができます。しかし本当の赤色にするのは、決められた分量を混入しないと、あの鮮やかな赤色が出ません・・・これをアバウトな自然界がやってのけるわけなので、偶然の代物に近いわけなんです・・・

     

    例えば・・・窯業原料の酸化アルミニウムと少量の酸化クロムを混ぜて、アルミホイルを使って、電子レンジで合成ルビーを作る方法があります。 電子レンジのマイクロ波の波長の振動係数に合わせて、アルミホイルがプラズマ溶融する際の高熱で、包んだ粉末を瞬時に溶融させてルビーを作る方法です・・・でも電子レンジのマイクロ波の振動係数と波長を合わせるのが中々難しくて、ネットの記事だけでは上手くいきません・・・何とかコツを掴み上手くいくと3mm程度のルビー(紫外線で蛍光発光する)を作る事が出来ます。

    ネットで検索すると色々と出てきますが、上手く作るコツが書いてある物が少なく、一般人がこの材料を買うと、材料の購入量の多さから確実にもてあまします・・・(笑)

     

    実はサファイヤとルビーは同じ酸化アルミニウムの結晶です。 純粋な酸化アルミは白色の個体で、この酸化アルミ自体を高温で溶かして、ゆっくりと冷却することで透明な物を作る事が可能です。こういったものは工業的にも必要不可欠な材料で、色々な物に使われています。これがよく耳にするサファイヤガラスという物 サファイヤとルビーの違いはここでは割愛しますが、鉱物をやるなら知っていていい情報なので、あとは勝手に調べてください。

     

    上段右から2番目が無色透明なサファイヤ・・・とにかく不純物の種類や量を替えて行くとこんな色々な色のサファイヤを作れるわけで、ピンク系の物はレーザー発振用に使われたりします。 この単結晶の事を業界では「ブール」と呼んでいて、ベルヌーイ法で合成して作られた物です・・・本来円柱状をしています冷却するとなぜか、この写真のように残留応力で半分に割れてしまうそうです。

    たまに海外のオークションサイト「ebay」で格安で入手できますが、送ってもらう際に品名を「宝石」にするととんでもない関税を課せられたりするので要注意です。 「工業材料」とかが無難かな? 荒業を使うとすれば黒の油性スプレーペイントで真っ黒に塗装して送ってもらったりする方法があります・・・受け取ったらシンナーに漬け込んでペイントを溶かします。

    合成サファイヤの利用・・・

    身近なのは高級腕時計の風防(透明なガラスの部分)安物は、プラ製で長年使っているとひび割れや傷が出来てしまいますが・・・サファイヤガラスはモース硬度第2位なのでちょっとやそっとでは傷がつきません・・・まぁしいて言えば、サファイヤの結晶が入った容器に時計を突っ込んだり、大量のダイヤの入った麻袋に時計をブっ込むようなシチュエーションが無い限り傷がつきません・・・以前私の知り合いがロレックスの高級腕時計の中古品をヤフオクで購入しました。(当時人気のモデルで、もう値段は本物価格 笑) 自慢げに見せつけてくるので、見せてもらったら風防に沢山の傷がついているじゃあありませんか? 

    疑う私に・・・1万円まで賭けさせて、知り合いに買取業者で鑑定してもらったらやっぱりニセモノだったことがありました・・・中身も国産のムーブメントでしたが、風防のサファイヤガラスは入手できなかったんですね・・・あまりにも落胆ぶりがかわいそうだったので、1万円をもらわずにいました。

     

    この様な光を通す物は、本来透明でなければいけません。 なので不純物を限りなく少なくすると余計なイオンが無くなり透明な結晶が出来上がります(かなりおおざっぱに表現してます)

    水晶発振器に使う水晶に紫水晶や煙水晶を使ったら、その波長は不安定になってしまうと思います。 

    なので合成水晶はとても純度が高く作られているので、決まったクロック数を取り出すことが可能なんです。この水晶発振器が無いとGPSなんかも存在しなくなってしまいます。

    IMGP0834.JPG

    下にあるのは光学用合成水晶、右から順に合成ルビー、合成アレキサンドライト(通販でよくあるアレキサンドライトの指輪が今なら49800円で・・・の有名なアレキ・・・最近はちゃんと合成アレキ使用と言っているかな?)天然ものは小さなものでもとても高価、次は合成サファイヤ、いちばん左側は水晶発振器用の合成水晶

    この合成ルビーは、いまから随分前に中国の会社が沢山作っていた物ですが、倒産した際に市場に流れたものを格安で大量に購入してます。 今では人にあげてしまいもう手元にはあまり残ってはいませんが・・・

    IMGP0836.JPG

    水熱合成法(オートクレイブ)で煮て作った物は、表面に独特な成長線かもしくは蝕像が現れます。 因みに合成水晶は用途に適した面のみを大きく成長させることも可能です。結晶の成長面制御ができるんです。

    IMGP0840.JPG

    この合成水晶を人に見せるとよく聞かれることが有ります・・・「この金属片は何?」 そうなんです!! 実はここまで成長される前にはここに、カットした種水晶(種晶と言います)がぶら下がっていた痕跡なんです。 カットした種晶は金属板に固定されて専用のカゴに吊り下げられて釜の中に入れられて、数か月間掛けて成長させます。 高さ5m程度の細長い釜の中には、あらかじめ原料となる砕かれた水晶片が沢山入れてあります・・・そこにアルカリ系の薬品を入れて、高温高圧をかける事で、下にある原料の水晶片から溶け出した珪素が種晶について成長してゆくわけです。(これ簡単に書いてます・・・実際は温度勾配とか晶析理論とかでとても難解です) まぁ簡単に言うと梅干の塩の結晶がだんだん大きく成長するようなことです(笑)

    こういう熱物は、電気代や人件費が安い海外で作っています・・・純度が悪いやつがたまに市場に流れます。

    IMGP0838.JPG

    細い方にも種晶フックがあります。

    合成水晶釜揚げ.jpg

    今まさに「ガマ出し!!」では無くて「釜出し!!」ん?・・・「釜上げ?」おばちゃん海老天も付けて(笑)・・・の風景です。

    以前、知り合いの中国人が言っていたんですが、このカゴに天然の小さな水晶のクラスターを吊り下げると、大きなクラスターに成長できるそうです。 そして・・・なっなんと!! 成長途中で他の元素を・・・銅とか鉄とかを入れる事で、色を付けたりインクルージョンを入れることも可能だそうです。 なんとも面白いですね・・・でも知っている人が見たら成長線のでき方とかで、天然ものとの判別は一目瞭然みたいです。

    ブルー合成水晶.jpg

    とある元素を少量ドープさせるとこんな合成水晶も作れてしまいます。 なかなか綺麗でしょ・・・

     

    実はカルサイトの単結晶なんかも合成できます・・・光学材料の分光結晶として使われていたりします。

    戦時中・・・国内のある鉱山では、透明のカルサイトが採掘されていました、戦艦大和の測距儀には、国産の天然の透明な大きなカルサイトが使われていたと聞きます(以前何か本で読んだことが有りますが・・・詳細は不明です)

     

    例えば大型で透明で、不純物が限りなく少ない透明な「蛍石」の結晶がじゃんじゃん採れる鉱山が発見されたら、世の中の写真・カメラマニアの方達が喜ぶかもしれません・・・まぁこれは現実的ではありません。

    だから蛍石も合成してしまうわけなんです。

     

    カメラのレンズは高価なものほど明るいレンズが使われています。 色収差が少なく明るい特性を持たせるには、今の技術ではガラスレンズのみでは解決できない問題とされています。 そこで登場するのが蛍石レンズ(フローライト・レンズ)の存在です。

    鉱物採集をやっている方は知っていると思いますが・・・蛍石は比較的割れやすくサファイヤに比べるとモース硬度では柔かい方になりますので、各メーカーはこの蛍石レンズをガラスレンズと張り合わせることで、割れやすさや扱いやすさなど色々な問題を解決してきました。

    この件は・・・私はカメラ関係には門外漢なので、後は詳しい方のネットを参照にしてくれればいいと思います。

     

    でもそんなデカい透明な蛍石が自然界で採る事は出来ません、なのでこの蛍石でさえ合成してしまった人類はすごいです。

    蛍石は、カルシウムとフッ素で簡単に作れます・・・フッ素は天然の蛍石を加熱分解すれば採れます・・・フッ化水素という、ガラスでさえも溶かす猛烈に危険な薬品を炭酸カルシウムと合成すれば簡単に作れます。

    しかし、ただこれだけでは、白い粉末ができるだけなので、これを結晶化する技術がひじょうに難しいと言われています。

    FZ法=フローティングゾーンや、CZ法=チョクラルスキー法(またはゾーンメルティング法)などを使いますが、合成方法に関しては難解なのでここでは割愛します・・・お好きな方は調べてみてください。

    合成中は・・・フッ化カルシウムは存在するフッ素の影響と溶融温度で、結晶表面が再溶融して結晶化してゆきますが、折角出来上がった結晶自体もフッ素の影響で再び溶かされます・・・人工的に起こる蝕像現象です。 フッ素成分が含まれるガマ中のトパーズも時々鋭い蝕像が見られますが、これも成長過程でのガマ中での、腐食性の熱水?もしくはガスの影響と言われています。

     

    今では技術が進んで、以前よりも蛍石の単結晶が作れるようになったおかげで、世の中のママさんたちが運動会で子供たちの姿を撮影している望遠レンズにもこの蛍石レンズが使われるようになってます。なので誰でも簡単に明るいシャープな写真が撮れるわけなんですね! まぁ少なからず自分の腕の問題もあると思いますが・・・(笑)

     

    先日仕事で行った展示会(光学関係)で・・・Nikonさんの展示ブースで見つけた蛍石の単結晶(これ欲しい!!)

    関係者の方に写真撮影をお願いしたら、快諾してください撮影させてもらいました・・・

    KIMG0184.JPG

    レンズ用に作られた蛍石の単結晶(長手方向は30cm位ありました・・・たぶん重いと思います)

    KIMG0185.JPG

    表面には微妙に結晶が成長したラインが残るものの、内部には目に見えるインクルージョンなどは皆無でした。

    「しまった!!」後から思ったのですが、これは「劈開割りした物」かそれとも「窯出し品?」か聞くのを忘れました・・・

     

    私の中では、出所がしっかりとしていれば、別に天然ものとか合成品とかの差別はあまりなく集めています・・・この結晶はどうやって出来たのか?というような事にとても興味があります。 逆説的にこれが判ればフィールドで・・・どこに出そうか、なぜこの結晶はこの色になったのか?が解ってくるかなぁと思いをはせるわけです。 皆さんは如何でしょうか?

    最後まで読んで頂きましてありがとうございました・・・

     

    ではでは・・・

     

    | その他 | comments(4) | - | posted by Lime (ライム)
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    お疲れ様です
    この記事、自分にとってはとても面白かったです。
    聞いてはいたが、作り方や実物(原石?)を始めてみました

    合成ダイヤモンドはカッターに使われていて、刃先に金属に交じっているのを見たことはありますが、人工原石の実物は初めてです

    説明もよく、科学的でわかりやすいかったです

    イミテーション・実験結果など続編期待します
    posted by bandlover | 2017/04/11 6:10 PM |
    bandloverさん

    コメントありがとうございました。
    鉱物採集もそうなんですが、科学の講義も・・・ただ単に教科書に載っている難しい事を並べただけでは、初心者の方の心には響きませんよね・・・おっしゃる様に合成ダイヤモンドが100均のヤスリに使われているとか・・・シリカゾル溶液でオパールが作れるとかをやると、一気に身近になって入り易くなりますよね・・・

    またネタを探しておきますね・・・

    ではでは・・・
    posted by Lime | 2017/04/13 10:52 AM |
    娘の夏休みの研究にご指導願います!(笑)
    posted by opaleye | 2017/04/13 2:10 PM |
    opaleyeさま

    ご無沙汰しております。 いつも見て頂きましてありがとうございます。
    やっと暖かくなってきましたね・・・春の採集シーズンに突入しました。どこかに採集に行かれる予定はありますでしょうか?(^O^)

    夏休みの研究はいいですね! 私は大好きでした・・・ネタに困ったら言ってください(笑)

    ではでは・・・
    posted by Lime | 2017/04/14 8:35 AM |
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