鉱物絵の具と鉱物画 | 02:12 |
私が住むこの東海地方でも、今日はとてもいい天気になりました。
見上げた空は、まるでウルトラマリンの絵具を流したような・・・深い青色におもわず目を奪われてしまった。
このブログを見ている方のほとんどは、鉱物を採集を趣味としている同志の皆さんが多いのではないだろうか?
こんな梅雨の晴れ間に、ちょっと絵具の話をしてみたいと思いまして書いてみました。
日本国内では日本画を描く際に使われる顔料絵具を「岩絵の具」といわれている事をご存じであろうか・・・まぁ読んで字のごとく
実際に岩を砕いて絵の具用の顔料にしている訳で、ある意味そのまんまの総称がが付けられています。
比較的大きな画材屋に行くと、直径が2cm程度長さ5〜6cm程度のガラス管に色とりどりの粉が詰められていて売られているのを目にされた事もあるかも知れない。
日本画はその岩絵の具を膠(ニカワ)という糊で溶いて紙などに定着させて使います。
海外でもフェルメールの絵に、頭に青いターバンを巻いた「真珠の首飾りの少女」という有名な絵があるが、その青いターバンにもまさしく鉱物から採集して作られた岩絵の具が使われているんです・・・鉱物名では「ラピスラズリ」を砕いた粉で描かれています。
現在では比較的簡単に入手できるものがあるが、今日のように交通手段が発達していなかった中世の頃は、遠方から鉱物が運ばれて絵具に調整されていた事もあり、そんな岩絵の具はとても高価なものであったと言われています。
一時期国内で有名になった、伊藤若仲の鮮やかな色彩が多用された絵は、この高価な岩絵の具が多用されていた事も知られています。
私のとって絵は禁断の趣味だ・・・これやり始めると何も手に付かなくなるほどの沈溺性があるんです。 なので色彩や絵具にも何故かこだわってしまいます。
それを知ってか知らずか・・・いつも採集に同行してくれるmoriさんから私の絵画欲に火を付けるがごとく、これまたとんでもない物を頂いてしまった。まさに入院中のある中患者に酒を渡すようなモノ・・・ でもとても嬉しかったです・・・
それがこれ!! しかしなんでこれ知ってたんだろう? 絵の勉強したことあるのかなぁ〜
ダニエルスミス社のカラーチャート
ダニエルスミスは海外の岩絵の具のメーカーで、その素晴らしいのは天然由来の顔料(実際の鉱物や鉱石)から作られている真正の岩絵の具である事で、車でいうとまさにロールスロイスかフェラーリのような最高級品
みなさんが子どもの頃に手にした事にある、水彩絵の具のチューブサイズで、こいつはなんと1本が最低でも、日本円で3000円程度します、実際に入手が難しい鉱物を粉にしたものは、数万で取引されて・・・希少価値のあるものになると、美術館などが絵画修正用に大枚はたいて購入するので、一般人には入手が難しい色もあるくらいなんです・・・たまに死蔵品が出るとオークションにかけられるほど貴重な絵具・・・
そんな、高価な岩絵の具を紙にちょっと縛りだしてくれているのがこのカラーチャート・・・そのまま筆を水で濡らせば使う事が出来ますが・・・もう!もったいなくて使えないというシロモノなんです。 だからこれは私の中では見て楽しむものという位置づけです・・・笑 そもそも、そこまでの腕がないので怖くて使えませんが正直な所なのかもしれません・・・笑
ではその中から、鉱物マニアさん達でも解かる絵の具をこのカラーチャートから見つけてみました・・・
中央に「アマゾナイト」とその下に「ブルー・アパタイト」が見つかります。 まぁどちらも有名な鉱物ですよね!
名称の最後に付く・・・「Gen ・Genuine」という単語は、日本語読みでジェニュイン「正真正銘の・・・ 本物の・・・」と言う意味があります。 なのでこれは本物のアマゾナイトを使った物と言う事です。
ありましたね!! Lapis Lazuli Gen(ラピスラズリ)そのうえがソーダライトですね!
次はスギライト・・・
さて次は、紫水晶のAmethyst Gen(もう誰もが知っているアメジスト)でもこんな色になるんです。
さてさて・・・貴重なKyanite Gen(カイヤナイト;藍晶石)まで絵具にしています。
まだまだあります。もう言わずと知れたGarnet Gen(ガーネット)です
多彩な鉱物だからこそ表現できる色もあります。
こちらはRhodonite Gen(もうマンガン鉱物のバラキで有名な・・・ばら輝石のロードナイト)です。
これ使ってみたいです。
まだまだありますが、最後は・・・これで締めようかと思います。
Jadeite Gen(そうです・・・あの翡翠です。スーパージェイド翡翠採り棒が欲しくなります・・・笑)
この名称の下に書かれた記号にはちょっと興味深い内容が隠されているんです。
簡単に言うと毒性などなど・・・詳しく知りたければ自ら購入をお勧めします。
ここまで振っておいて、実はこの絵の具は、チューブ入りの物を含めて国内では購入できる所が少ないです。
ダニエルスミス社も海外発送をしていないと聞きます。 個人売買の怪しい物もあるのでやはり純正品を購入したいですが・・・
私はこのカラーチャートでも十分目の保養になりそうです。
因みにメタリックやラメもあってほんと素晴らしいバリエーションです。
こんな色でレインボーガーネット描いたら面白い物が描けそうで、考えただけでワクワクします。
さすがにこのチャートを使うのはもったいなさ過ぎるので、極々普通の絵具で2通りの紫水晶を描いてみました。
まずは、水彩画のデフォルメチックな物から・・・
これは足尾鉱山の紫水晶
鉛筆で下書きをする描き方
下書きを描いたら薄い色から乗せてゆきます・・・
濃淡を付けて透明感を出します。
輪郭線を入れてさらに色付け
この程度なら1時間もあれば完成です。
続けて・・・
もっと写実的な手法で描きますが・・・・水晶自体は想像で描きます・・・
下書きは無しです。まずは・・・背景を塗ります。
中心部に紫があるタイプです。 完成形をイメージしながら色を入れてゆきます。
紫色でも5種類くらい作り変えて描きます
根元はスモーキーにしてみました。 妄想全開で・・・こんな紫煙が採れたら嬉しいと思いながら描きます。
次・・・輪郭を薄く塗ります。
結晶の形を注意しながら、さらに輪郭をはっきりとさせてゆきます。
透明感を出すために白や灰色を使って、バックの背景を基準に光の透過や反射を薄く描き込んでいきます。
左上からの光源を意識して、結晶に反射を入れてゆきます。結晶面の光の屈折も考慮して色を注します。
影を入れて完成です。
これも大体2時間程度です。
二つを並べてみました。
人によっては好みが分かれると思います。
なかなか昔の感覚が取り戻せなくてほんとダメです・・・笑
他の鉱物で・・・もっと練習しないといけませんね・・・
長文失礼しました・・・最後まで読んでくれてありがとうございました。
ではでは・・・