山での事故防止・・・蜂刺されからのアナフィラキシーショック | 00:50 |
※6月28日:誤字脱字・一部文章の修正
また雨が続くらしい、蒸し暑いのは嫌だが、これが梅雨時期の醍醐味・・・なまじ日差しがあると余計に蒸し暑くなる
しかし、雨が降っているうちは何とも言えない涼しげな感じがする。
それは沢登り時に大きなの滝の前に立つような感覚に似ている。
昨年2017年7月の事になるが、兵庫県で小学生がヤマカガシの咬傷で一時期、意識不明のに陥り、幸い血清を注射した事で命拾いした話がありました。
私はこのニュースを見て、ヘビの危険性よりその子たちがチャレンジしたその行動力に妙に共感を得た覚えがある・・・
こんな悪ガキは最近なかなか見ないです・・・アウトドア少年としては将来の逸材です。
実は詳細をひも解くと、この小学生は2度咬まれているらしい、そのどちらかでヤマカガシの口の奥にある毒牙の洗礼を受けたという事だ。
家族は生死をさまよう息子を見て、さぞかし心配しただろう・・・一緒にいた友達もさっきまで蛇を捕まえて、楽しんで遊んでいた友人の命の炎が瞬き始めたのを見て物凄い恐怖を味わったと思う。(まぁ結果的には死なずに済んだので、大人になってから・・・貴重な笑い話になるのだが・・・)たぶん親にめちゃくちゃ怒られたと思う。
マムシは毒がある事が知られているが・・・ヤマカガシに毒がある事は意外と知られていない。 しかも奥歯だけでなく首にある頸腺という所にも毒腺があって、敵からかみつかれた時にその毒がはじけ飛ぶようになっているらしい。
そのため、イタチなどに襲われた際の威嚇時には、マムシのようにトグロを巻きジャンプで咬みつく事をせず、お辞儀するように首を相手に見せつけるらしい・・・
実は奥歯にある毒牙の活用は普通、獲物を飲み込んだ時に獲物を沈静化させる役目を持っていると聞いた。
しかし一般的に進化の過程で、「毒々しい色には、毒がある」のが普通・・・あの独特のオレンジはやはり警戒色であった。
1984年に愛知県で中学生がヤマカガシに咬まれたことで死亡事故が発生して、この蛇に毒がある事がわかった。 遺族が研究費を寄付し毒成分と血清が作られたのだが、マムシより咬傷事故が少ないせいか、血清は足りなくなっているのが現状である。
面白い事に毒成分はマムシとは違い、耳の後ろに毒腺を持つヒキガエルから取得している事も興味深い・・・なので毒成分は「ガマの油」と言われる「ブファジェノライド」、またよくにたもので、同じくヒキガエルのアルカロイド毒の成分「ブフォテニン」に似ている。 思わずヤマカガシ=フグと思ってしまう。 他の動物や植物から毒を摂取して利用するしたたかさは一緒だ・・・
沢登りをやっていたり、夏に山に入るとマムシに会う機会が結構ある・・・滝を巻こうと岩崖ホールドに手をかけたら、すぐ横でマムシが昼寝中だったりニアミスは結構ある。それもここでやられたら病院に行くまで結構時間を要する場所が多いので、ヒヤヒヤする・・・「まぁ向こうも無益な殺生はせぬぞ・・・」と思っていてくれるならありがたいが・・・?
しかし昆虫の蜂はそう言う訳にはいかない、ちょっとしたことで襲ってくることがある。時期によっても攻撃性が増すこともあるらしいので、決してあなどってはいけない。
子どもの頃は軒下に作られた蜂の巣を竹の棒で落として遊んだ・・・蜂とリアルな鬼ごっこをするのだ。
とにかく刺された数は10回を超えているが、大人になってからは一度もないのが今になって怖い・・・抗体ができている可能性がある。 その抗体のせいで、次に刺された時にその抗体が暴走してしまう可能性がある=それをアナフィラキシーショックという。
蜂毒は人体に抗体が付きやすく、刺された回数が多ければ多いほど「アナフィラキシーショック」が起こる確率が上がるが、これも実際には個人差が大きく何とも言えないのが現状である。 最後に刺されたのは、高校生の時に風呂上りに、たたんであったパンツをはいて、アシナガバチにシリをやられたのが最後だ・・・(笑)
これから夏場にかけて蜂の活動が活発になる、特にスズメバチは危険だ・・・オオスズメバチは毒量も多くて刺されれば一発終了もある。 よくあるのが誤って巣を刺激してしまう事・・・一応向こうから警報を出しているがこちらが気づかず近寄り過ぎてやられる。
下界(いわば街中や居住地がある所)では、もしアナフィラキシーショックに陥っても、早めに救急車を呼べば何とかなるが、山奥ではそうはいかない。
そんなことで、息子が進もうとしている林業関係の仕事ではこんなものが利用されているので紹介したい。
しかし入手するには、病院での蜂の毒の抗体検査が必要となるので、誰でも購入できるものではない・・・そして薬剤だけの購入費用も1万円程度する。 これを高いか安いかと思うのは個人差だと思います。
その名も「エピペン」・・・初めて聞く方も多いのではないだろううか?
最近では、重度の食物アレルギーを持つ小学生の中にも、非常用で持っている子がいます。(通常、学校内では保健師や先生があずかっています)
こちらは、「0.3ml 皮下注射用オートインジェクション」成人用 ※自動的に所定量が注入できる仕組みです。
購入すると2本ついてきて、一本は練習用;トレーナー(針が付いてない物)が付いてきます。
蜂に刺されて、アナフラキシーショックに陥ると、数分程度で体に異変が出ます。 血圧が低くなって意識が朦朧としたり、気道が腫れて、気道が狭くなり呼吸困難になって行くため、息苦しさや咳がで始めます。 ひどい蕁麻疹が出る事もあって初期症状は様々・・・このままほっておくと気道閉塞よる呼吸困難や低血圧にり生命活動が維持できなくなって死亡します。
一時的にその症状を緩和するために使われます。(この薬剤は心臓に効いて血圧を上げたり、気道の筋肉を弛緩;緩める作用があります。)
エピペンの薬剤の正体は、「アドレナリン」です。
鉱物採集の時思わず声をあげたくなるような、巨晶や素晴らしい一品を掘りだしたときに、あの気分が高揚する時に、みんなの脳からドバーッと出てます・・・このアドレナリンは達成感や危険な行為をしている時にも、ストレスから解放するために脳から放出されます。 心臓の鼓動が激しくなり、一時的に高血圧状態になるあの一瞬です。その作用を利用します。
このようなロック付きのケースに入れられています。
上の青いキャップは誤操作防止のロックです。
本体にもこのように、取り扱い方法が記載されています。
医療現場では・・・
救命救急で心停止しそうな患者に、強心作用のかわりにもつかわれます。 その時は注射器にあらかじめこのアドレナリンが充填された「エピクイック」や「ボスミン」なんて呼ばれています。 よく似たもので「ノルアド;ノルアドレナリン」というものもあります。
容器の中には2mlの薬剤が入っていて、押しつけることで0.3mlだけが正確に皮下注射されるしく仕組みになっています。
使用後には1.7mlの薬剤残りますが、再使用ができなくなっています。
表示には「アドレナリン」の記載とオートインジェクターの記載があります。
(小学生には、子ども用として0.15mlを注射できる物が処方されます。)
大腿部に押しつけることで、この部分から22G(22ゲージ;外径約0.72mm)の針が出てきて、2〜3秒で所定量が皮下注射される仕組みです。 通常、ズボンの上から直接うちます。
ズボンの布を貫通させるために比較的太めの針が使われています
専用ケースの側面には使用期限が記載されています。
さて使い方です。
付属の練習器(トレーナー)を使います。刺す場合の強さなどは同じになっています
あっ失礼・・・おっさんの足では汚いってか?? じゃぁ・・・
風呂上がりのJKの娘がいましたので、モデルになってもらいました。
興味ある方はこちらでお楽しみください・・・(笑)
もちろん練習用です。結構強く押さえないといけないみたいです。「カッチッ」とクリック音がします。
別のアングルから
押さえた跡が付いてます・・・(笑)
静脈に注射する事を避けるために、刺す際は比較的大きな静脈が少ない大腿部が理想と説明書に書かれていました。
冒頭で蛇に関する記述をしていますが、これは蛇の毒には効きません。お間違えないように・・・・
本来はこれを使うシーンが無い事を祈りたいですが・・・アナフィラキシーショックに陥った場合は、このような対処できる物がある事を紹介しておきます。基本的には購入した本人しか使う事を前提にしていませんので、持っていても他人に使う事はできません。ただ子どもの場合は親や学校の先生や保健師さんが注射する事は認められています。
しかし、どういう状況で、またどのくらいで症状が出るとか、また症状自体の重篤度も個人差が大きいのが、このアナフィラキシーショックの怖さでもあるんです。
2012年にとある小学校で、食物アレルギーの子供が誤食によって、アナフィラキシーショックの症状によって死亡しています。しかもこのエピペンを持っていたにも関わらず、「だれが打つのかという責任のがれ的の迷い」によって児童は亡くなってしまいました。 このことをきっかけに保育所や小学校では「迷ったら打て」というのが最近よく聞かれるようになりました。
実際には処方された本人とその家族、または医師と救命救急士しか打つことは許されていないのも事実なんです。 しかし重篤なショックが出た場合、本人では取り出すことも自分で打つこともままならない状態もあるので、こういった場合はやはり周りの者が意を決して処置する必要があるわけです。 状況が状況なので、この場合は緊急処置として法には触れないことになるでしょう。
その後「エピペンの使用において、本人が注射できない場合は、他人が本人に替わって注射する行為は、反復継続する意図が無いと認めれるため医師法違反にはならない」となっています。
「エピペン」を使ったとしても完治したわけではありません、なので症状が一時的に落ち着いているうちに、山にいるならすぐさま下山して、救急車で医療機関に行くことが大切です。
これから山に入るときは、特に蜂には注意したいですね・・・
ではでは・・・