結晶は素晴らしい! | 00:15 |
最近、雨が降っていない・・・突然の雷雨もないと思っていたら、今日は少しの恵みの雨が降りました。
今年の夏は面白い事に、湿度がいつもの夏よりも少ないように感じているが、皆さんはどうだろうか?
私が住む東海地方では、見上げる鈴鹿山脈や伊吹山の上空に流れの速い雲がかかる・・・そんな時は北からの風が強い証拠、こんな時はドライフェーンという現象が生きて、これまた気温が上昇します。乾燥した暑い風がこれまた気温を上げてしまう事になります。
さて本題に移ろう・・・
画像情報と言うものはある意味恐ろしい・・・このネット全盛の世界、画像をちょっと載せるだけで、その画像から勝手に解釈して想像して物事が進んでゆく・・・インスタでは特に少ない情報源から、余計にそのモノの出所がとても気になる・・・「採ったのか買ったのか?」その「出所は一体どこなのか?」「俺が知らないこんな物が採れる場所があるのか?」と、この鉱物趣味の世界は、まるで自分の力で地下のマグマを動かしているような人もいるので・・・ちょっとした科学の力を借りて、そんな人を喰うようなイタズラを仕掛けるのはとても面白い!!
「あえて画像のピクセルを小さくしているのに、PC上で拡大をして確認しようとする」細部までデティールを確認できないもどかしさ・・・何となく頭の片隅に残ってしまい、知らず知らずに何度も確認!このブログのアクセス数を稼いでくれる方、とても貴重ですありがとうございます・・・(^O^)/ こちらとしてはブログネタとしての仕込みで、けっして悪気はないが、「だまされた」と思ってしまった方にはお詫びを申し上げたいです。 ごめんなさいです・・・(笑)
こちらも驚いたのが・・・この結晶を載せたら、その日のうちに600を超えるアクセスが殺到してホントびっくりしました。
某テレビ局のモニタリングという番組! たぶん引っかかったら頭にくるかもしれないが、太鳳ちゃんに会えればラッキーと思うしかない、まぁそんな感覚で楽しんでください。
さて・・・もうそろそろ「例の結晶」のタネあかしを行う事にしたい。
まぁ冷静になって細かく書かれた内容や、その時の記事をよく読めば「なんかおかしい」と解かるのだが、この写真に人間の欲望が邪魔をして、冷静な判断が欠落する典型的な例に引っかかった方は・・・この際、ぜひ自戒してくださる事をお勧めしたいと思います・・・(笑)将来・・・鉱物に喰われる可能性がありますなんて・・・(笑)
いつかは種明かしするつもりだったので、全くだますつもりはないが、科学の力を借りれば、こういった物が簡単に作り出す事が可能だという事。水溶性ではあるが、鉱物同様ちゃんとした結晶系を持った結晶であること・・・そして一番言いたかった事は、軍事技術の一部として、第二次世界大戦前から実際にこういったものが、軍隊を持っていた世界各国で研究し作られていたのは事実であること。
まぁ、それでも「冗談がすぎる!!」と言われればそうかもしれない・・・ごめんなさいです・・・(笑)アハハ!!笑ってるし!!
上の写真! これ合成写真じゃぁ無いですよ! 実際にこの大きさの結晶なんです。
上の写真は大きさはそこまでないが、比較的綺麗な物・・・
この記事を、ここまで待ったのは意味があるので、時間が許す限りその事も含めてちょっとお付き合いをしていただきたい。
今年も終戦の日が近づいてきている。
戦争はいけない事だ・・・沢山の人が亡くなる・・・それも全く罪のないの市民に対する影響がとても大きい
過去には日本のようなこんな小国でも大きな戦争をやらかしていました。
しかし戦争は産業や科学の発展には凄まじいほどの活力を見出すのも事実、それは日本だけでなく軍事技術のから民間転用されて現在でも利用されている技術が沢山ある事は知られています。
簡単な物では「自動車のウインドガラスの撥水剤」が有名かなぁ・・・軍用機にワイパー付けれないので、雨を弾き飛ばす為に実際に塗られていました。
そんな中、古い時代の国内鉱山の歴史を調べると、沢山の戦争とは無関係とは言えない事実も見え隠れしています。
昔、日本はドイツと仲良くやっていた時があります。 その時に潜水艦の聴音機(水中の音を聞く装置)の為に、とある技術をドイツから教えてもらっていたのです。
鉱物好きのみなさんに人気がある水晶? コレクションや観賞用以外の役目として「強誘電体」としての産業利用があります。
薄片にした水晶に電極を合わせるように取り付けて、電気をかけると厚み方向に伸びたり縮んだりすることで、決まった周波数の振動が起こる現象の事をいいます。 水晶発振器という名称で、様々な機器に内蔵されていて、これが無いとあのGPSも動かすことができません。
このような強誘電体は、今度はその結晶に外部から振動やストレスを与えると、逆に電気が起こります。
なので音や振動が結晶に当たると、今度は結晶が発電して電気信号となって取り出す事が可能となります。(実際には難解なので、解かり易く要点のみ簡単に書いています。) 音には人間の耳では聞き取れないような物も含まれるので、遠くの小さな音を拾って電気的置き換えれることが可能となるので、増幅したりイコライジングすることで音の成分を分析する事が出来るようになるんです。
今のように、ピエゾトランジスターのような物が無かった時代、当時の日本軍は、とある誘電作用を持つ結晶を製造して加工する事で、音を取るためのマイクロフォンとして活用ができる事を当時、ドイツから教わりました。
しかし日本ではその結晶が水溶性であったことから、水に弱いので潜水艦では使い物にならないとして、他の誘電体を探す研究がされていましたが、ある事がきっかけでこの結晶を大量生産する事で、ドイツ軍の潜水艦Uボートと並ぶ、最強の索敵能力を持つ日本海軍艦隊を作り上げる事に成功しています。
まぁ余談であるが戦艦大和を含む、戦時中の戦艦には、大砲の狙いを定める為の、敵までの距離を測る為に使用する測距儀望遠鏡にも、その複屈折異折合照の材料として、国内で採集され加工された良質のカルサイトの結晶が使用されていた事もあまり知られてはいません。
今回の ブログで騒がせたこの結晶は、音を聞くために作られた結晶なのです。(実際に自分で作った物です)
※ピエゾ素子は、弦楽器から音を電気的に取り出す時のピックアップという物に使用する物まで、はたまた特殊なセラミックから作られた物は、2mmほどの小さな結晶に衝撃を与えるだけで、1万ボルト近い電気を瞬間的に起こす物も作られています。(電子ライターの、パッチン!!とスパークを出すセラミックス素材など)
ピエゾとはギリシア語の「piezein」=圧力という意味です。
戦時中の凄い所は、こういったことを民間企業や、民間人の力を借りてやらせてしまう事です。
この素材については戦時中、日本はぶどう酒(ワイン)を製造している会社に、この誘電体の結晶を製造させるための原料の製造をさせていた事も、一般の人には実はあまり知られていませんでした。
NHKの朝ドラで放映された「マッサン」でもウイスキーを作る代わりに、この結晶の為の原料を作るために、醸造所が徴用されるシーンが盛り込まれていました・・・
今回この結晶を作るに当たり、貴重な文献を頂いたN大学の教授、わざわざアメリカの現地より沢山の写真の提供をくださった元海軍士官のJ・M氏、ロシア語の文献の翻訳を手伝ってくださった、ロシアの鉱物仲間のПавел(パーヴェル)氏 色々とありがとうございました。
女性がバットでこの結晶を育成させている様子 海外の様子
その結晶の原料となる酒石酸・・・食品添加物としても使われている有機酸なのだが、昔はこの酒石酸を出発原料として合成する物が強誘電体として活用されていました。
別名「ワイン・ダイヤモンド」とか「ワイン・ルビー」とも言われる結晶の「酒石酸塩」
これは実際にワインボトルのコルクに成長した酒石酸塩結晶です
屈折率が高いので、キラキラと輝きます。酒石酸の純粋な物は無色透明な結晶なのですが、赤ワインの場合は赤ワイン中のアントシアニンがドープされてくるので、このような「ワイン・ルビー」と称されるような結晶になります。
「酒の石の酸」と書くだけあって、まさにある条件下で、ワインなど酒精を醸造する事でその成分を取り出す事が出来ます。
実際に軍事利用されていたのは・・・
その名は「ロッシェル塩」と呼ばれる結晶です。 この斜方晶形の結晶はまさにトパーズなどと類似な結晶構造を取り屈折率も高いので光が美しく映えます、まさにぱっと見た目トパーズに見えて、見た人の心がこれまた色々な意味でざわつきます。
そしてこの結晶も軍事技術とともに研究されてきた結晶であるとも言えます。
参考にした本はこの2冊
この結晶については、詳しくは載っていませんが、結晶がどのように育成してゆくか、そして実際の実験方法の例などが書かれています。 私が持っている数ある本の中でもかなり貴重な物
さてさて、この結晶の詳しい日本名は、「酒石酸カリウム・ナトリウム」という塩類
あらかじめこのような種結晶を蒸発法で作っておいて、それを飽和溶液中で育成させる方法を取ります。
下の写真は、おなじみの我が家の「キッチン・ラボ」でのガマ開けの様子です。
いつも・・・食事中だろうが、家族に関係なく私が迷惑な実験をおっぱじめるお馴染みのシーンです・・・(笑)
余談ですが・・・最近では、みんな慣れてしまって・・・突然の突沸(急激に沸騰して薬剤などが噴き出る事)にも全然驚いてくれなくなってちょっとさびしいです・・・(笑涙)
500mlのペットボトルの容器で、種結晶を糸で吊るして数日間溶液中で育成させると、このような見事なクラスターが成長します。息子は夕食は終わってますが、娘が「おぉ〜これはキレイ」といい、食べかけの茶碗を置いて写メを取っていました。
すでにこの時点で、トパーズなどがこのような結晶には育たない事を知らないと、まんまとその策に引っかかるわけですね。
トパーズはガマからは、箒(ほうき)状で単一で産出する例が多いです。
この結晶の面白い所は、トパーズと屈折率も変わらず、見た目の輝きがこれまたそっくりの所です。
これは大きな結晶の育成用の瓶の様子
種結晶を吊るして数日後には、結構な大きさに成長
結晶の大きさは、飽和溶液の入っている容器の大きさに比例します。
なので・・・大きな容器で作ると大きな結晶育成する事が可能です。
これは、自然界でのガマの大きさと内部に成長する結晶の大きさと比例する事とも同じ事が言えます。
なので大きなガマが空くと、必ずガマの主を探したくなりますよね・・・
第二次世界大戦中に、大型のロッシェル塩の製造に従事した「大原儀作先生」は、ある地方の崖に深い横穴を掘って、温度湿度を一定にしたのちに、十石(現在の180リットル程度)程度の木製の樽(バレル)を使って、太さ15cm長さ20cmの単結晶を生育して、これをとある研究所で誘電状態が最も出やすい角度でスライスして、潜水艦用の聴音機に加工していました。
最近では、大学でもあまり結晶育成に関する学問は少なくなってきていると聞いた事があります。
しかし青色発光ダイオードの中村博士も、サファイヤの基板上にいかにうまく窒化ガリウムの結晶を成長させるかで、あの大業を成し遂げていました。
そこには凄まじいほどの試行錯誤があったと本で読んだ事があります。
条件の整った材料や機材があっても、任意に結晶成長を制御するのはとても難しく、ましてや自然界の夾雑物にあふれたガマの中から、あのような素晴らしい単結晶ができる事は、ほんと偶然の何物でもないわけです。
なので、人がネットにあげた美しい結晶の画像に、これほどまでの強い興味が湧きあがり、それは嫉妬や欲望となるのかもしれません。ほんと怖いですねぇ〜
まぁ・・・残念ながら渦巻く嫉妬や欲望だけでは、この鉱物採集の世界でも、必ず同じ大業は成し遂げれない事は事実なんですがね!
さてさて、くだらない話はここまでで・・・これからはもっとくだらない実験状況を報告です・・・(笑)
またお馴染みのチェック柄のテーブクロスといえば、我が家のキッチン・ラボです・・・(笑)
飽和溶液中で緩やかな下降温度勾配作り、結晶を成長させる為の育成装置です。 決して大袈裟なものでなく、ご家庭にある物を使って「人工のガマ」を作ります・・・ある意味これが私のやり方です。 この人工ガマも頻繁に蓋を開けると、結晶がうまく育ちません・・・その為、決まった日に確認する時はとてもワクワクします。
この、こ汚い発泡スチロールのボックスは一応「花崗岩」を模しています。
そうなんです・・・「もう模様も含めてどうみても花崗岩!!」にしか見えなくなってきますよね・・・ねっ!
「あなたの目にはこの箱が段々、花崗岩に見えてきます・・・・・・・・・・・・・・・・」
「おぃ!なんか!干物臭いぞ!」 たぶんそれは勘違いです。幻聴ならぬ幻臭かもしれませんよ! そもそもPCの画面から匂いが出る技術は一般的には開発されていませんので・・・
繰り返しますが・・・もうそろそろ、あのガチガチの花崗岩にしか見えませんよね・・・(笑)
これが我が家のガマです・・・
暑い日に出かけなくても家でガマ開けが可能です・・・(笑)
薬品にお湯を注いで、種結晶を吊るすだけ・・・数日間待つだけで完成です。
この中には閉じ込められた熱水が存在するわけなんですが・・・熱水を包んでいるのがこの文象帯です。
かなり無理がある事は承知の上、これがガマへの手掛かり文象帯です。
これがあることで、熱水がゆっくりと冷える為の断熱と結晶の種を育成する大切な部分なんです
またある仮説では、余計な不純物が初めに結晶化した部分とも言われています。
熱水が残った状態のガマです。実際には気成成長するものもありますが、細かい事は言いっこ無しです・・・(笑)
そして、実際のガマからは折れた割り箸は出てきません・・・もし出てきたら、掘られた後だと思ってあきらめましょう!
ゆっくりと温度が下がって行くと、溶液中の溶解度が下がって、種結晶に取りこまれる事で結晶が大きく成長します。
途中で結晶を空気にさらすと、乾いた部分に細かな結晶ができて、再度それが結晶する事でクラスターになります。
1日で相当な大きさに成長できますが、あまり急ぐと結晶が濁ってしまいます。
そうそう!この日は水曜日!! KFCの「ケンタッキーバーレル」が安く買えます。ケンタを食べながら観察です。
バーレル=バレル これも樽の事をいう単語なんですよね。 このKFCバレルはもっと大きな結晶を作るための容器として使いたいですね・・・
背後からライトを当てるとよくわかります。
ズシリと重たい感じもそっくりです。
結晶の頭もちゃんとできています。
育成用の飽和溶液の濃度を細かく調節する事で、綺麗な結晶ができるようになります。
条線も出てほんと、あれにそっくりですね・・・(笑)
誘電体として使用するには、もう少しゆっくりと成長させて、透明度がある結晶に成長させなければいけません。
このような水溶性結晶は、結晶育成技術を勉強するにはとても良い教材になります。 自分なりに飽和溶液の濃度や成育温度を変化させて、また容器形状を変えたりすることで成長変化を楽しむ事も出来ます。
このような塩類は他にもあって、「タットン塩と言われる硫酸塩系の塩類」もありますので、こちらも他の金属塩をドープさせるとこれまた変化する色や結晶形状を楽しむ事が出来ます。
このタットン塩には、ロシア人の友人から分けてもらえそうな、「硫酸ウラニル」などをちょろっと混ぜ込むと、紫外線でビカーッと眩しいくらいに蛍光する結晶も作れたりします。これは圧巻です。
水溶性結晶の代表は「ミョウバン」の正八面体結晶が有名ですが、こちらも透明な物をうまく作るにはちょっとしたテクニックが必要となります。
下の写真は、綺麗に成長させたロッシェル塩の結晶です。 屈折率が高いのでキラキラです。
比重もそこそこあるので、持った感触もトパーズにそっくりです。
さて、このロッシェル塩は食品添加物にも使用されている物なので、いまからでも間に合う子ども達の夏休みの自由研究にも安全に使える事が出来ます。
でも難点は水に溶ける事です・・・(笑)溶けなくする方法は色々とあるので、ちょっと考えてみてください。
ネットでは、この結晶をスライスして実際にマイクロホンやイヤホンを作っている方もいるのでとても参考になります。
実際に、ロッシェル塩の結晶が使われている「クリスタル・イヤホン」
これがなぜ「クリスタル」と言う名前が付いているのか、初めて知った方もいるのではないでしょうか?
今度は実際に結晶を使った圧電実験をやってみようと思っています。
今回も長文読んで頂きましてありがとうございました・・・
まだまだ暑い日が続きます。皆さんも熱中症に気を付けてくださいね。
ではでは・・・