Lime JuiceLimeの活動日記
アウトドア・鉱物採集・鉱山探索・自然観察・廃墟・ガラクタ収集、その他なんでもあります。

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鉱物採集からの新たな試み・・・ 22:46
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    夜半から降り出した雨は結構な降水量になった。どうやら前線が通過したようだ・・・

    日中はもっと涼しくなると思ったが、ちょっと湿度が高い一日になっている

     

    さて新しいコテゴリーを追加した。 現時点ではブログでは公表できない調査し始めたばかりの産地情報などがあって、ちょっと更新が遅れ気味なので、この穴埋めに科学・実験ネタを入れようと考えた。

     

    以前、私のブログにコメントをくれた美術大学の学生さん・・・卒業制作のアドバイスをする事になったのだが、現在でも色々と交流が続いている。

    来年の話なので、まだ詳細は差し控えるが、彼女は在学している大学での制作発表があり、その後で東京の有名な美術館での発表が決まったとの事、そこでのエキシビジョンの為に、採集した銅鉱石を利用して制作物を作りあげているところだ・・・

     

    私の知っている事でアドバイスしているが、実験が中々うまくいかなくて苦労もある・・・しかし試行錯誤して手伝いができる事自体がこれまた結構面白い・・・

     

    鉱山のズリで採集してきた銅鉱石を酸処理して、まずは色々な物にメッキを試みてみた。

    KIMG0863.JPG

    金属にメッキをするのは比較的簡単だが・・・今回は紙にメッキをする方法を・・・この夏の間に考え出した。

    KIMG0853.JPG

    私が昔から使っている直流電源装置・・・電気メッキはこれが無いと始まらない

    IMGA0046.JPG

    色々なパターンで紙に銅メッキをしてみる事に・・・学生さんでも簡単にできるように、できるだけ危険な薬品を使わずメッキをする方法を考えるのに結構苦労をしました。

    KIMG0864.JPG

    まだまだ綺麗ではないが、ちゃんと紙に銅メッキができるようになった。

    KIMG0867.JPG

    紙なので曲げても大丈夫です。

    それと、巷によくある「銅色が出るペイント」ではないので、ちゃんと導電性も付加できています。

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    やはり練習は腕を上げます。 最近ではこのようにまっすぐな銅メッキでパターンを描き出す事に成功してます。

    これ使って何か作ってもらえると嬉しいです。

     

    最近では、「実際に銅の鉱石を精錬して、鉱石から自分で銅を取り出したい」という話になって・・・この面白そうなネタに私もちょっと夢中になってしまっている。

    IMGA0064.JPG

    懲りずに再び銅鉱山に訪れて、ズリにある比較的品位の高い銅鉱石を採集した。

     

    さて・・・現在の日本では銅鉱石から直接「銅」を精錬している企業はありません。

    そもそも、銅の鉱石すら国内で採算レベルで採集をしている所もありませんので、昔あった銅鉱山はほぼすべて過去の物になっています。

    それと銅自体が、リサイクルが確立された有用な金属資源であるので、スクラップから取り出した方がコスト的に採算が採れるという事なんです。

     

    鉄でさえも「高炉」が動いている製鉄所も数えるほどしかありません・・・

     

    こういった鉱石から目的の金属資源を得る事を、総じて「冶金」と言います。

    えっ・・・すでに読み方が解からないって・・・そうなんです、それだけ使われなくなってしまった言葉なんです

    「さんずい偏」なら「政治」の「治める」に使われていますが、これは「にすい」という偏になります。 「冷房」の「冷=れい」の字には使われていますよね。 

    なので読み方は・・・「冶金=やきん」と読みます。

     

    日本の鉱山がまだまだ元気であったころは、「冶金学」なんて学問で、金属を精錬する為の技術を学ぶ学問があった事さえ最近は忘れられてしまっています。

    IMGA0153.JPG

    この銅鉱石・・・黄銅鉱です。表面は風化しています。

    これを、機械で粉砕します

    粉砕中は、硫黄の独特な匂いがします。この事からも硫黄の化合物だという事が解かります。

    IMGA0156.JPG

    さて銅の鉱石から銅を精製する事は、簡単ではありません。

    精錬の工程の中に、銅鉱石を熔解して銅を精錬してゆく過程があり、それを行う為には1000℃程度まで耐えれる高温の炉が必要になってきます。

    精錬の前段階で、銅鉱石を「焙焼=ばいしょう」するための炉が必要になってくる事もあり、溶解炉の設計を行う前段階でのテストをこの簡易的な焙焼炉で行った。

     

    炉は身近にあるものを使ってとりあえず作ってみる、けっして大袈裟な物ではなく、七輪をつかった物でまずは試験を行う事にした。

    IMGA0163.JPG

    砕いた銅鉱石を、反応助剤のコークスや石灰石とともに黒鉛坩堝(こくえんるつぼ)に入れて、七輪にコークスを詰めて過熱を行った。もちろんこれで溶かせるまでは昇温できないので、これはあくまでも焙焼専用である。

    放射温度計を使って細部の温度を測ってみました。

    IMGA0164.JPG

    余熱とコークスへの着火の為、ガストーチで加熱します。

    保温の為の鉢は膨張差で割れてしまいましたが、それでも900℃程度まで上昇させる事は可能でした。

     

    銅鉱石は、硫黄と銅が結び付いた「硫化銅」という成分で安定的に固定されている、なので比較的品位が高い黄銅鉱でも銅成分で30%程度しか含まれていない

    あとの残りは、硫黄と鉄が結び付いた「硫化鉄」というもの、その他にも「硫化亜鉛」や「硫化鉛」などが含まれています。

    その中には銀や金といった貴金属も少量含まれています。

     

    なので鉱石を細かく砕いた物を坩堝に入れて、600℃前後に加熱する事で、できるだけ含まれる銅や鉄に付いている硫黄分を引き離します。

    これ結構簡単に書いてますが、実際には簡単にはひきはがす事は難しいので、内部に入れた助剤を使って助けてあげます。

    それと厄介なのが、この時点では硫化鉄との混合物になっているので、これもこの時点で加熱して一部酸化鉄にしておきます。

     

    この後の熔解作業で、鉄を還元する事で、後の造滓作業で投入される珪石「珪素=SiO2」と結び付けて「スラグ化」させると、銅と鉄を分離する事が可能となります。(解かり易くかなり簡単に書いてますが、実際にはもっと複雑です。)

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    山で私に拾われたばっかりに、砕かれて造滓材にされる石英や水晶達・・・

     

    そのため・・・その時の造滓材(スラグ化させる為の材料の事)である「珪石」と同じ成分の、山からサンプルで採ってきた形の悪い水晶などを砕いて、珪素分とします。

    IMGA0159.JPG

    小さな水晶が付いていますが、こいつもじきに産まれてくる銅の為に潔く生贄になってもらいます。

    下の写真は粉砕中の粉砕機の内部です・・・

    IMGA0155.JPG

    機械で砕くとこんな感じです・・・黒っぽい色の物は煙水晶の破片です。

    これでもまだ未練があるので更に・・・粉砕します。

    IMGA0160.JPG

    粉砕終了です。水晶の面影はもうなくなり、砂にしか見えません・・・(笑)

    IMGA0161.JPG

    残った硫黄分は、「石灰岩」を砕いた物を投入する事で、石灰の成分であるカルシウムと硫黄が結び付き、これもスラグになります。

    こうして何度も精錬を繰り返すことで、含まれる銅の純度を上げてゆきます。

     

    さて本日の試験はここまで・・・

    焙焼は成功しましたので、きょうの昇温データを元に、今度は溶解炉を設計します。

     

    では試験をしたら続きはまたアップしますね・・・

     

    ではでは・・・

    | 科学・実験 | comments(8) | - | posted by Lime (ライム)
    Comment








    何だかとても素敵な事をされていますね(笑)むちゃくちゃ楽しそうです!
    しかし、ジョークラッシャーをライムさんのブログで見ると違和感ないですね(笑)素晴らし過ぎます。
    銅の精練は私も来年にかけてのテーマなので楽しく拝見させていただきます!電解精練までなされるのでしょうか?陽極泥など色々と面白いことも控えていますね!それでは頑張って下さい!
    posted by ちゃーん | 2018/10/27 11:58 PM |
    初めまして!
    鉱物採集のみならず色々な取り組みされてますね。ただただ凄いと思うばかりです。
    過去記事のことで恐れいりますが、鉱物採集にハンマードリルを使用されることもあるとの事ですが、機種は何を使用されてますでしょうか?
    参考に伺えればと思いました。
    posted by じゃん | 2018/10/28 7:36 PM |
    ちゃーん様

    いつもコメントで盛り上げていただき、ありがとうございます。

    いゃーあ!若い学生さんに、いい意味で私の探求心をくすぐられて…これまた私の「熔鉱炉」に火が入ってしまいました…笑

    初めは、ブスブスと燻っていましたが、文献など漁るうちに…我の探求心が鉱石を溶かせる程に燃え盛ってしまっています…笑
    この火は誰が消すのか?どうしたらいいのでしょうか?…(。>д<)

    ちゃーん様こそ…この写真見てジョークラッシャーと解るとは凄いです…何者なんでしょうか?…f(^_^;

    銅の精錬がテーマになっている? それはある意味凄いです…私の近くで銅の精錬に興味がある人が、もう一人現れるとは…
    これまた、偶然じゃあなくて必然なのかなぁ? 来年は精錬か冶金のトレンド来るな!こりゃ!

    電解精錬…陽極泥(アノードスライム)、これに手を出すかはもう少し考えてみます…でもなんとも魅力的な言葉!
    といいながら…何故かホームセンターで大きな深い容器を探している自分がいたりします…苦笑
    実は紙にメッキしたのは、その走りなんですが…

    もし…そちらでも銅鉱石が必要なら言って下さい!送りましょうか?

    では…できる限りやってみようかと思いますね…私はあくまでも脇役なので、学生さんに迷惑がかからない程度にここで報告していこうかと思います。

    では、ちゃーん様もテーマ遂行!がんばってくださいね!

    ではでは…(^_^)v
    posted by Lime | 2018/10/28 10:41 PM |
    じゃん様

    こちらにもコメントありがとうございます!

    ドリルの件は、最初のコメントを方に書かせていただきましたので、すみませんがそちらをご覧くださいませ(^_^)v

    いぇいぇ、凄いだなんて恐縮です。
    ただ興味があって…あと私が基本、金属鉱物に思い入れがあるので、最近の光り物ブームからの、こちらにも興味をもってもらうために、始めた試みです。

    上手く行けば、小学校のクラブでもできたらいいかなぁ〜と思っています。

    メールアドレスを頂いているようなので、後程そちらにもご挨拶をさせて下さいね…(^-^ゞ

    ではでは…今後とも宜しくです。
    posted by Lime | 2018/10/28 10:50 PM |
    個人的には”冶金”をやりたいのが一番です。これに一番必要なものはやはり金属まで熔かせる熱い心ですね(笑)この熱い火は是非プラズマ化までさせて下さい!!!
    鉱石のお話しありがとうございます。勿体ない話ですが,やはり自分で採集するロマンもあるのでお気持ちだけ有り難く頂きます!
    いやはや金属鉱物はどうしてこんなにもワクワクさせてくれるのでしょうか(笑)
    可能であれば情報交換も出来ればと思います。
    ではまたお願いします。
    posted by ちゃーん | 2018/10/31 10:20 PM |
    ちゃーん様

    いつもコメントありがとうございます。
    やっぱり冶金ですよね〜
    >これに一番必要なものはやはり金属まで熔かせる熱い心ですね(笑)
    激しく同感しております・・・(笑)
    プラズマ化したら周りに影響が出そうなので、私の中の「理性」という磁界で閉じ込めておけるように努力したいです・・・(笑)

    鉱石の話は差し出がましく失礼いたしました・・・m(_)m
    ちゃーん様はご自分で歩かれる方なので、どこかの鉱山のズリからきっと採取してこられるのかなぁ〜と思っていましたよ・・・

    現在、コークスを使用した炉の設計をしておりまして、材料などを少しずつ購入しているところですよ・・・11月の後半には学生さんが泊まり込みで来るので、なんとか間に合わせないといけません・・・

    ほんと金属鉱物は奥が深くて、楽しいですね! きっかけをくれた学生さんにほんと感謝です。
    鉱石から金属を取り出すという、単純そうでこれまた奥が深い、この冶金技術を追ってみるのがとても楽しくなってきましたよ。

    >可能であれば情報交換も出来ればと思います。
    情報交換OKです・・・またメールでもくださいね・・・なにか解れば私の方からもメール差し上げますので、その際はこちらこそぜひとも宜しくお願い致します・・・(^O^)/

    ではでは・・・
    posted by Lime | 2018/11/01 8:40 AM |
    ぜひとも灰吹きもやってください!


    ・・・鉄腕DASHでもやってましたが。
    posted by まに屋 | 2018/11/03 10:18 PM |
    まに屋様

    いつもコメントしてくださり、盛り上げて頂き感謝いたします。

    さてさて・・・なんかやり始めたのはいいが、とんでもない物に手を出した感が半端無いです・・・

    灰吹き法ですか・・・? これは銀や金を採取するには使えますが、銅を単体となると中々難しいようですね!
    今のような技術もなかった時代に、こういった方法を試行錯誤で考え出した昔の人は、ホントたいしたものだと感心しています。

    本で読む事である程度の大変さは納得していたつもりですが、やってみるとこれまたその大変さが身にしみる思いです。

    でもそこがある意味面白いですね・・・いい年こいたおっさんにこんな面白い事をするきっかけをくれた学生さんにはホント感謝しきりですね!!

    ではでは・・・
    posted by Lime | 2018/11/05 9:51 PM |
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