Lime JuiceLimeの活動日記
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銅の精錬 Vol.2 焙焼から熔練  23:43
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    11月06日 ※気が付いたらなんとも誤字脱字が多いこと!! 修正しました。

    この所、何故か?ブログにログインができない状態が続いていて、記事の更新が遅れ気味である。

    PCの影響なのか? しかし今日は一発でログインに成功したので、結構な反響があった銅の精錬についての続きの記事を更新してみました。

     

    天気は快晴! 移動性の高気圧に恵まれて空気はカラッカラに乾燥している。

    晴れた土曜の朝、いつもよりちょっと早起きして、前に焙焼しておいた銅鉱石を使って今度は熔練作業を行った。

    外作業なので雨が降るよりはましなのだが、こういった空気が乾燥している時は、高温の炉を扱うので不注意による火事には十分に気を付けなければいけない。

    ブログが炎上するのはある程度織り込み済みなのでいいのだが、家が炎上すれば元も子も無くなってしまうので、ちょっと笑えない・・・(笑)

     

    さて今回の目的は、焙焼に使った七輪炉で焙焼後の鉱石を高温で溶かせるか? そして含まれている鉄分をスラグ化(カラミ)にして除去できるかを試験してみた。

     

    焙焼作業では、あまり温度が上がり過ぎてもダメなので、送風は控えめで行っているが・・・

    しかしこの熔練作業では、鉄分やその他不純分を大量に含んだ焙焼後の鉱石を、それこそ溶岩のようにドロドロに熔解しなければいけない。

    KIMG0916.JPG

    焙焼後に半熔解した物を坩堝から取り出す・・・

    KIMG0920.JPG

    もともとこの時点で、不純物は珪石と石灰で結びついて、一部はスラグ化してその中に、鉄や銅を含む金属成分が残った状態になっている。 そのため、冷却後に坩堝から取り出した物は、手にとってできるだけ金属成分が多そうな重さがあるものを拾い集めている。

    KIMG0922.JPG

    それを集めて・・・鉄乳鉢(金属製の乳鉢)を使って、ガシガシと潰す・・・ここであまり細かくしてしまうと、かえって熱が回りにくいので、最小でも5mm程度になるように砕く

    砕いた物に、今度は銅以外で一番多い鉄を除去するための、珪素分を投入・・・(前回のブログ;いらない水晶を砕いた物)を、鉄の含有量から想定される造滓量を計算して投入した。

    その後に、石灰石を砕いた物を投入して・・・再度残留した硫黄分を除去するためにと、スラグの流動性を上げて熱対流を起こしやすくして、造滓が進むようにしている。(本来この時点で「蛍石」を投入すると、スラグが更にサラサラになって流動性を持つようになり造滓が効率よく進むようになるが・・・しかし最近では、スラグの有効利用を施すがために、転炉で鉄を作る際も環境負荷の大きなフッ素分がスラグに混入する事を避けるため、蛍石の使用を避ける「ホタルレス」という精錬方法が主流になっている。)

    まぁそんなことで、出たスラグも最終的には今後の高温炉の製作をするために耐熱キャスターに混ぜ込むためにも、フッ素は入らない方がいいと考え・・・この実験でもホタルレスで行う事にした。

    ※蛍石=フローライトの語源・・・フロー=流れる=熔融物が流れやすくなる事から付けられている。

    KIMG0926.JPG

    コークスに火を入れるのは結構難しい! 高温状態と風が無いとなかなか火が回らない!

    なのでドライヤーで風を送る!(燃えないゴミの日に、内部のニクロム線が切れた物が出してあったのでゴミから拾って来た物、こういう時の為に役に立つものである・・・笑)

    KIMG0927.JPG

    火が回り始めたら、今度はもっと風量が多いブロワーで空気をガンガン送る。

    KIMG0928.JPG

    1000℃越すと、七輪に使用されている珪藻土は熔融し始めるので、それまでに坩堝に入れた材料が溶けてくれるのを祈るしかない。

    KIMG0929.JPG

    七輪炉は上を開けておくと熱の放散が激しいので、素焼きの植木鉢をかぶせて、マッフルとして発生した熱を鉢底で反射させて、坩堝を過熱させる。 本来は耐熱性のある物で製作して、鉢の内側にあたる部分は下向きのパラボラアンテナ状(下向きになった凹レンズ)状態にすることで、熱を反射して再度内部の坩堝に収束させることで、高温を維持する事が出来る・・・

    簡単に言うと反射炉みたいな物の応用・・・

    KIMG0930.JPG

    温度が上がってくると、植木鉢では内部と外の温度差でこのように割れてしまうので、この上から再度大きな鉢で覆う

    KIMG0933.JPG

    オレンジ色から段々と明るい黄色く輝きだし、坩堝の内容物が熔解し始めている・・・この辺りが1000℃を越してきた温度

    KIMG0934.JPG

    周りが暗くなったわけでは無く、内部の輝度が大きすぎて周りが暗く撮影されてしまった。

    画像では確認できませんが、遮光眼鏡で見ると内部の熔融物が完全に熔解しているのが確認される。

    このあとこの熔融物に、ステンレス製の細いパイプを入れて、コンプレッサーからの空気を勢いよく吹きこむ

    この作業がとても危険極まりない!・・・製鉄作業で「スプラッシュ事故」と言われる、鉄が溶けた溶湯(ようとう)が飛び跳ねて浴びる事になる・・・服を着ていてもこれが付いたら皮膚に穴が穿たれ、とても治りにくい火傷を負う事になるので、飛び跳ねない程度にエアー量を調整して送りこみます。

    十分に撹拌とエアーを送ったら、坩堝挟みで坩堝をつかんで、鉄製のアングルに溶けた内容物を流し込みます。

    KIMG0935.JPG

    残念ながら一人作業に付き・・・熔融物を冷却するため、この鉄製のアングルに熔融物流す所は撮影できていない。

    坩堝を炉に戻して・・・急いで撮影! 冷却固形化しようとしている熔融物を撮影しました。

    アングルは斜めになっているので、重たい「粗銅分」はこのアングル材の下に溜まって固化し、鉄と珪素が反応してできたスラグはその上に浮かびます。

    坩堝の中で自然冷却させてもいいのですが、スラグとの分離が悪いので、あえてこのようにしています。

    KIMG0937.JPG

    冷却するとスラグは割れてゆきます。よく見るとアングルの底面(鋭角)になった部分に溜まった物はほのかに銅の色をしています。

    KIMG0938.JPG

    アングル上で冷却後、固化したの物のい断面(金属は溶けて液体になると、スラグの内部でも強い表面張力で表面が丸くなり分離する)

    銅色している左部分がアングル底面に溜まった「粗銅」、右側の黒く扇状になった部分は、鉄と珪素が結び付いてできたスラグ部分です。この2つは混ざり合わないのと金属成分が多い粗銅は、高温で溶けたドロドロ状態でも、このように比重差で下に溜まって固まります。

    KIMG0940.JPG

    これは別の物をアングル底面側から見た物

    中心部分の茶色く見えるものが粗銅・・・その他の黒い部分はスラグです。

    ハンマーで軽くたたくと、スラグと粗銅は全く異質な物なので簡単に分離できます。

    KIMG0941.JPG

    たまたま縦に割れた物、界面が明瞭です。

    左側が「粗銅」部分で右側の黒い物がスラグです。

    KIMG0946.JPG

    上のサンプルをダイヤモンド砥石で磨いてみた結果、粗銅とスラグ面が分かれているのが解かります。

     

    さてさて何とか取り出した粗銅ですが・・・読んで字のごとく、このままでは銅の純度が低いものです。

    実際の色を見ても解かるように、純銅には程遠いです。

    こういった物を同じ方法で何度も繰り返して、今度はこの粗銅を集めて、再度コークスや石灰石を混合し、再び高温の炉で精錬してするか、これを集めて一つの板にして、それを電気精錬することで純銅を得なくてはいけません。

     

    今更ながら、なんかもう!!「とんでもない事に手を出した感」が半端ない作業でした・・・(苦笑)

     

    今後の課題としては、もう少し溶解炉を大きくして効率化を目指さないといけないなぁ〜と、作業を振り返って少しばかり反省している・・・(笑)

     

    ではでは・・・ここまで読んで頂きまして、誠にありがとうございました。

    | 科学・実験 | comments(10) | - | posted by Lime (ライム)
    Comment








    個人でも精錬出来るんだぁと感心する半面、
    これだけの手間暇かけてこの量の粗銅しか作れないだと愕然としました。
    冶金って本当に大規模にやらないと商売にならないんですね。

    改めて思ったのは、十円玉ってありがたいなぁ・・・って(笑)
    posted by 草喰ひ猫 | 2018/11/06 9:36 PM |
    草喰ひ猫^^ 様

    この度もコメントありがとございます。
    >個人でも精錬出来るんだぁ・・・
    ほんとやっている時は半信半疑の部分もありましたが、粗銅が採れた時は、こんな物でもめちゃくちゃ嬉しかったですよ・・・

    やった私も愕然としています・・・これだけ手間暇かけてやっても、焙焼後の原料約800gから27gの粗銅しか回収できませんでした。(日当もでない・・・)
    しかも・・・これはあくまでも粗銅なので、電気精錬して純銅にしたらもっと少なくなってしまうので、もう採算性など語れる状況ではありませんね・・・(笑)
    もうこれ以上は、含まれている貴金属やレアアースに託すしかありませんね(そんなバカげた希望を持っています・・・)
    冷静になると・・・その辺にある、電線をひん剥いて・・・中の銅をリサイクルした方がよっぽどましなレベルですね・・・(苦笑)

    因みにここの鉱山の銅鉱石は、蛍光X線分析の結果から・・・酸化銅(CuO)換算で、多くても約17%程度でした。
    採算性を持たすためには、よほど大規模にやるか・・・人件費や熔解するための燃料費が安い所でないと無理ですね。

    >改めて思ったのは、十円玉ってありがたいなぁ・・・って(笑)
    この言葉!!ぐっときました!十円玉ほんとありがたいです・・・
    明日から自販機の釣銭ボックスに手を入れるように努力します。
    あと、工事の時に出た電線の切れ端も今度から拾うようにします。

    懲りずにもう少し遊んでみようと思います。また何か結果がでれば掲載しますね・・・(^O^)v その際は、またかまってやってくださいませ・・・

    ではでは・・・
    posted by Lime | 2018/11/06 10:27 PM |
    今度は精錬ですか、いやはやどこまで行くのやら。(^^ゞ

    そのうち製鉄から鋼作りとか言い出すかも。

    取りあえず頑張ってください。
    (^_^;)
    posted by 大阪屋 | 2018/11/06 10:50 PM |
    大阪屋様

    お久しぶりです。 いつもコメントありがとうございます。
    ほんと、今更ながら「なぜこれに手を出してしまったのか?」じぶんでも解からないまま突き進んでいます。
    でもバカげたことですが、経験することで色んな事が解かりまたよ・・・

    この銅の精錬の話を持ち出した学生さんは、砂鉄から釣り針を作ったらしいです。 これ聞いて私の何かに火が入ってしまいました。
    まぁやれるところまでやってみるので、また覗いてきてください。

    >取りあえず頑張ってください。
    ありがとうございます。とりあえず頑張ってみます!!

    ではでは・・・
    posted by Lime | 2018/11/06 11:20 PM |
    はじめまして。

    七輪で精錬とは楽しそうですね。
    自分は20年ほど前に七輪陶芸をしていました。
    その時には七輪の上に丸ペール缶を乗せ、内部に断熱材のファイバーキャストを
    塗布して、窯を作って焼成していました。

    この釜でソーダガラスを珪石から作った事もあります。
    ドライヤーの送風で1400度近くまで温度上げられると思います。

    実家にあったその釜はゴミで捨てられてもう無いですが.........。

    いつもブログを見て応援しています。
    posted by ばばしん | 2018/11/07 8:07 AM |
    ばばしん様

    初めましてこんにちは、この度はコメントありがとうございます。

    おぉ凄い!七輪陶芸!されていたんですね!
    実は私もやったことありますが・・・一時期すごく流行ったのでチャレンジしましたが、素地作りの段階で空気が入っているらしく、素焼きの段階で割れてしまう事が多かったです。
    それでも2〜3個のぐい呑みを作った覚えがありますね。まだどこかにしまってあるかも?

    セラミックファイバー断熱材を使うあたりが・・・すごく手慣れた感じですね・・・以前ではこういう物って入手が難しくて苦労したのではないでしょうか? 今はネットでなんでも購入できるのでチャレンジしやすい環境が整っていますね・・・

    ガラスも作られているとのことですが・・・何か造形物には加工されましたか?
    こちらもきっと奥が深いんでしょうね?

    楽しいお話聞かせて頂きありがとうございました。
    今後ともアドバイスお願い致します。

    ではでは・・・
    posted by Lime | 2018/11/08 8:53 AM |
    精錬やってみましたか?!
    すごい!・・・そして何よりまずはけがなく作業終えられたこと一安心でしょうか
    硫化鉱も自宅精錬ではかなりの手間であることが伺えますね
    二次富鉱体の『富鉱体』の意味がわかった気がします。。

    前の記事で灰吹きもどうですか?とコメントしましたが、
    灰吹きの方がまだ分離が容易そうですね・・・鉱石どうするかが問題ですが
    posted by まに屋 | 2018/11/08 11:44 PM |
    まに屋様

    いつもコメントありがとうございます。
    自分の中で精錬方法は理論としては理解しているものの、実際のテクニック的な物に関する文献が少ないので苦労してますね

    多分・・・炉の形状や造滓材の配合にノウハウがあるようで、そういった部分で、昔からこんな小国な日本でも、世界に通用するような高純度の銀や銅を売る事が出来たんでしょうね!

    歴史的背景から含めて、ものすごく興味が湧いています。
    元々仕事柄、高熱の物は扱いに慣れていますので、この辺りは押さえておく点だけを気を付ければなんてことありませんが、設備的な問題とコスト的な問題が大きいですね。

    おっしゃるっ通り、一般的に産出が多いこの硫化金属鉱石は安定的に結合しているので、それを引っ剥がすのに何段階ものプロセスが必要になる事も身を持って知る事になっています・・・(笑)

    私としては、焙焼の際に出た硫黄ガスを集めて、電気精錬の時に使う硫酸原として使いたいので、今は塩ビ水道管でベンチュリースクラバーを作っている所なんです。

    そうですね!日本様な熱水鉱脈性の金属鉱物は、どうしても富鉱体を追う事になるので、採算的には海外でよくある露天掘りには到底かないませんね!

    アドバイス頂いた灰吹きですが・・・環境負荷の大きい鉛を大量に使うのでちょっと敬遠していますね・・・(苦笑)
    あと基本は、貴金属を取り出す方法なので、銅と鉛は結合しやすくて精錬が難しいと、文献で読んだ事がありますよ!
    鉛は高温で揮発するので特に危険ですよ・・・実際に江戸時代の鉱山で灰吹きや焙焼を行っていた職人は短命であったという記述が残っているぐらいなので、そういった職人たちは鉛中毒だったかもと考えています。

    ではでは・・・
    posted by Lime | 2018/11/09 5:47 PM |
    着々と製錬が進んでいますね!!!羨ましいです!
    しかし,スラグの量は収率を上げるためにはどうしても避けられないですよねぇ〜。鉄の場合も鼎鮑遒蟆瓩て収率が全然上がらないなど苦労しました。。。しかし,約17%とは優秀ですね(笑)
    湿式だと収率いいですが本当に大規模にやらないと乾式よりも環境負荷が増大するし廃液処理も大変だしとなかなか難題ですね〜。
    大変ですが頑張って下さい!!!
    posted by ちゃーん | 2018/11/12 8:52 PM |
    ちゃーん様

    こんばんはいつもコメントありがとうございます。
    ホント!スラグ量は目的物の精製純度に比例しているのと、どうしても品位がよくない脈石や鉱石からの鉄やその他の成分が落ちるので、スラグ造量は避けられませんね! 勉強はしていたものの見るのとやるのでは大違いです。
    もう一つ困るのが、硫化鉱石の硫黄結合のしぶといさですね・・・(笑) 焙焼の時点で、硫黄を燃やして燃料にとありますが、やはり個人で設計できる炉の特性上、硫黄分を燃料転化して利用するのは難しいですね・・・でも最近は投入する石灰の量を増やすか、最終手段の純酸素ガスを焙焼中に吹き込み、強制的に酸化させる方法をやってみようかと思います。

    凄い!鉄でやっているんですね!!
    鉄の場合、どうしてもカラミに引かれる鉄の成分を如何に効率よく還元させるかが要みたいですが、そのあたりが以外と単純でないような感じですね・・・ちゃーん様も凄いですね!

    最終的には電気精錬しかありませんが、ほんとこれに行きつくと廃液の問題が付きまといますね!
    スラグ処理だけでも大変なのに、液体は保存性も悪くて行けませんね・・・最終手段アルカリで中和して、沈殿物を更に還元して金属化するか、もしくは炉内で硫黄と溶かして再結合させて、初めの鉱石のように硫化物化してズリに返してくる?方法?を考えています。

    こういった物を安易に川に流したり、そこらへんの山の中に捨てると、それこそ「カラミ以下クズ野郎」になるので気を付けないといけないですよね・・・(笑)

    ではこのネタ・・・当分続くので楽しみにしててくださいね・・・
    書きづらいネタなどありましたら、メールの方にどうぞです。

    ではでは・・・
    posted by Lime | 2018/11/12 10:22 PM |
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