Lime JuiceLimeの活動日記
アウトドア・鉱物採集・鉱山探索・自然観察・廃墟・ガラクタ収集、その他なんでもあります。

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古い箪笥のレストア 11:54
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    鬱陶しいジメジメした季節が続きます。 今年は思っていた以上に雨が多い様に感じます。

    それでも水不足気味な地域もあり、降りすぎて災害になっては嫌ですが、動物や植物にとっては恵みの雨でありたいと思います。

     

    この季節は鉱物採集はお休み中・・・・なので他の趣味を楽しんでます。

    それは家具(古い箪笥や水屋など・・・)のレストアです。

    IMGA0118.JPG

    塗装が終了して、金具取付け待ちの箪笥 これはもう引き取られてゆきました。

     

    最近、引き継ぐ家族が居なくなったという事で、古い家の取り壊しが結構多くなってます。

    その関係で昭和の初期から、もっと古い時代に使われていたような家具が出てくることが多いです。 普通このような家具は、家屋解体の再、材木と一緒に解体されて、ウッドチップなどの原料として処分されてしまうのが普通なのですが、私の父親が建設関係の仕事をしている関係で、たまに古い家具をもらってきます。

    またお客さんからの依頼で、家具を修理させて頂く事も良くあります。

     

    そんな家具は、現在の大量生産物では無く、無垢の欅や楢や胡桃などの木で作られた物で、しっかりした作りの物が多く、その時代の職人さんが丹精込めて作られた、とても手の込んだ作りの物もあって、現物を拝見すると組み木細工などもある物は、その当時の職人さんの腕前に、ホントとても感心させられます。 大きな物では欅の一枚を使ったものは、その材料だけでも非常に価値がある物です。

     

    しかしずっと使われずに納屋や倉に置いてあり、長年のホコリをかぶったノーメンテなそんな家具は、引出しの板が割れてしまっていたり、虫食いがひどかったり、時には底の部分の木材が腐っている事もしばしば・・・なので見てくれだけでは、ボロボロでそのまま捨てられてしまう運命が待っています

    そんな家具をサルベージしてきて新たな命を吹きこみます。

     

    金具類はすべて外し・・・・長年のこびりついた汚れを水で洗い、昔の塗料はサンドペーパーをかけて新しい木肌が見えるまで丹念に削り落とします。 ここで剥離剤を使うと木が痛んでしまうので、ひたすらペーパーで落とします。

    激しく痛んだ箇所は、これまた古い部品取り用の家具から再利用した木で、傷んだ部分を作り直すことでレストアしてゆきますが、この当時の物はホゾを組んで、組みたてられてますので、時にはバラバラにばらして修理する事もあります。(ほとんどはバラバラにばらしてしまった方が早い場合があります。)

     

    こういった事をやっていると、自然に修理の腕が上達してゆくのが感じられるのが、ある意味快感になってきます。

     

    金具類も当時職人さんが手作りされたもので、しかもとてもいい鉄材なので、野鍛冶の方が刃物を造るのに欲しがるかもしれません。 この時代の鉄は質のいい物が多くあります。

    曲がった物や取っ手が取れた物があれば、これも修理します。

    鉄を七輪で真っ赤に熱して、アンビル(金床)上でカンカン鍛錬します。

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    修理物はなんでもそうなんですが、作り手の気持ちを想像しないと、解体するだけで立体のパズルの迷宮に落ち込みます。

    当時の職人さんが思い描いた作りをトレースするがごとく、再度命を吹き込む作業です・・・・木組みのほぞを外すときには何とも言えない緊張感が心地よく感じられる瞬間でもあります。

     

    倉庫から出てきて、薄汚れていてガタガタで・・・持っていた家人が「もういらないから持って行ってよ!」と言われ持ち帰って修理した物でも、修理後に見てもらうと「修理代払うから、ぜひ譲ってほしい!」と涙目で頼まれることも良くあります。

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    これは茶箪笥と蠅張代わりに使っている食卓に置いてあるものです。 骨董として飾っておくのもいいのですが、使われてこそいい物も有ります。 その為足にはキャスターが付けられています。

     

    鉱物標本を含め「ただ同然で入手した物を、金儲け主義で販売する」と言う行為が、私も・・・・私の父も大っ嫌いなので、そのままあげてしまう事がほとんどです。(ネットオークションで売ればいいのにとみんなに言われますが・・・そんなことはしない)

    でもたいてい後から、お土産など差し入れを頂くのですが・・・・こういう心がこもった物は受け取りますが・・・

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    ダイニングにあるテレビの横の棚

     

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    廊下の奥留まりに置くことができるように、幅を調整して作り直したもの・・・・これは鍵付き金具が見事です。

     

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    引出の全面化粧板は、木材の材質を変えて遊び心を入れてあります。

     

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    これも旧家から出て来た茶箪笥 それぞれ種類の違った木材で構成されていて、とても手の込んだ作りになってます。

    これはほとんど原型に近いです。

     

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    扉の枠は「黒柿材」を使ってます。

     

    いままで修理した物は「20竿」以上は直してますが、そのほとんどは無事に貰われていきました。 

    譲ってあげ・・・・そこでまた長く使ってくれるほうが、この家具や使われた木々・・・そしてこの家具を作ったどこかの職人さんもきっと喜んでくれると思ってます。 いい物は骨董品の置物でなく、日常使いにした方が価値が出ると思います。

     

    「売ればいいのに・・・・」

    「金に目がくらんだ時点で、人間はいい仕事ができなくなる・・・」と言いいながら今日も黙々とサンドペーパーをかけてます。

    要は直すのが面白いんですこういう物は・・・・・

     

    修理して使う・・・・

    何からなんでも、使い捨ての「飽食の現代社会」・・・・あえてこんな時代遅れな方法にも味があると思ってます。

    ではでは・・・・

     

     

     

    | アンティーク | comments(4) | - | posted by Lime (ライム)
    Comment








    以前も別記事で思っていたんですが、作業部屋?の工具類の充実っぷりがすごくて、これをお仕事にされている人のようです(^^;)
    Limeさんは本当に多趣味&手先が器用ですね。
    キャスターが付くととても便利そう!
    posted by M | 2016/06/27 8:21 PM |
    弟が宮大工さんに木材を販売しています。 神社仏閣専門らしいです。
    国宝指定の建築物を解体補修の現場では、板一枚、梁1つ外すのがすごく楽しみなんだそうです。
    それは外したときに、その下から当時の宮大工達が記した様々な記しがでてくるからなのだそうです。
    ときにそれは、柱の番手だったり、方位だったりするそうです。
    時に史実に明らかにされていない修繕の跡を見つけることもあるそうです。
    そんなワクワクしたキモチは一緒なんでしょうね。なんて思いながら拝読させていただきました。
    posted by opaleye | 2016/06/27 10:06 PM |
    opaleye様
    こんばんわ・・・こちらにもコメント頂きありがとうございます。

    >弟が宮大工さんに木材を販売しています。 神社仏閣専門らしいです。
    うぁ〜これは凄いですね! 古い木材は「銘木」と呼ばれてある意味、ヴィンテージのワインやウイスキーと一緒で物凄い価値がありますよ・・・私も買い付けに行った先の材木屋さんで、いい材料を見ると鳥肌が立ちます。 最近では長野県某所の沼地で掘られた「神代スギの一枚板」が凄かったです。 見た瞬間ゾワッ!と鳥肌が立ちましたよ・・・

    >その下から当時の宮大工達が記した様々な記しがでてくるからなのだそうです。

    凄いですね! そんな瞬間に出会いたいものです。
    昔聞いた事があるのですが、梁の上に「当時の大工が使った墨壺が置いてあった」という記事を読んだ事がありますが、同じ職人同士だけが通じ合うようなメッセージなんでしょうね!

    大変だと思いますが、羨ましいお仕事をしていらっしゃいますね!
    興味深いお話しをありがとうございました。

    人が丹精込めて作った物は「作り手の魂が宿っている」と言われますが、これは事実だと思いますよ・・・(^O^)/

    ではでは・・・・
    posted by Lime | 2016/06/27 10:36 PM |
    Mさん・・・こんばんわ
    コメントありがとうございます・・・(^O^)/
    先ほど外を見たら、また雨が降り出してました。 今年の梅雨はなんとも梅雨らしい季節になってますね!

    >以前も別記事で思っていたんですが、作業部屋?の工具類の充実っぷりがすごくて、これをお仕事にされている人のようです

    私はギャンブルも酒・タバコもやらないので・・・給料を貯めて、昔からコツコツと好きな工具類を買い足して・・・今の様な作業小屋(よく言うと工房)が完成しました。
    私の父の建設関係の(木工用の仕事道具)もすべて置いてあるので、もうゴチャゴチャです・・・

    因みに写真では写ってないのですが、その他に溶接機や旋盤やフライス盤、鉄板などに穴をあけるときに使うボール盤などが普通自動車1台分のスペースに所狭しと置いてあります・・・・
    これは機会を見てアップしますね!

    今はもうやってないのですが、昔はバイクのフルレストアや車のエンジンのオーバーホールなんかも手がけていました。

    >Limeさんは本当に多趣味&手先が器用ですね。

    まぁ定年にでもなったら、ボランティアで「おもちゃ病院」とかアンティーク品の修理でもしながら、余生を送りたいですね!
    なので今からもっと腕を磨かないといけないと思ってます。

    今年の冬からは角型七輪を使って、もう少し本格的に鍛冶仕事も勉強してナイフ作りも挑戦したいと思ってます。

    >キャスターが付くととても便利そう!

    キャスターは私の父のアイデアですが、確かに便利です・・・しかし大きな地震が来た時は、ちょっと怖いかも知れませんね!

    アート(写真・絵。クラフト物)や工作など、誰かが作られた物を見ると、脳内が活性化されるのでとても楽しいです。

    ではでは・・・・
    posted by Lime | 2016/06/27 11:12 PM |
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