Lime JuiceLimeの活動日記
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鉱山探索「恵比須鉱山」編 Vol.2 10:45
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    祝日明けの今日・・・昨日とはうって変っての晴天に、さすがに昨日の雨を恨むばかりだ・・・
    今度の土日もどうも天気が良くなさそう・・・

    恵比須鉱山の探索記録という事で、ブログのカテゴリーは「鉱山」であるが「鉱物採集」も含めて書いていきたいと思う。

    鉱山からは少し離れるが、この「えびす」という言葉・・・一度は耳にしたことは無いだろうか?
    七福神のおひとりで、某メーカーの缶ビールの挿絵にもあるように、鯛を抱いて釣り竿を持ったにこやかな表情をした神様です。
    そして・・・この姿こそ「えびす神」の生い立ちを表している姿でもあります。

    「えびす」をPCで漢字変換すると、いろんな「えびす」の文字が現れます。 その中でも、某おとぼけ芸能人の「蛭子能収さん」も「えびす」と呼びますよね! この漢字知らないと読めませんよね!
    「蛭の子」と書いてエビス・・・「蛭子=ヒルコ」とは、古代の古事記には「不具の子=今でいう障害児」をさす言葉でした。 蛭のように「手足が無い子供=歩けない子供」または「体の骨が上手く形成されない蛭の様な子供=骨形成不全」をさす言葉であったと聞きます。当時では将来自分で立ち上がることができなかったので、手がかかるという事で間引きされてしまう悲しい運命をたどったと聞きます。 
    本当にそのような状態であったかとは別として、元々の七福神が描かれたその絵の「えびす様」はいつも座った姿で描写されていました。(現在のデフォルメされたものは立っている姿の物も多いですが・・・)大人になってからも、ほんとうに立てなかったのかもしれません。
    それでも・・・悲しみや悪を知らない「えびす様」は、いつもニコニコと屈託のない笑顔で微笑んでいた姿が描かれています。

    実は日本神話からも切っても切れない神様です・・・
    イザナギノミコト(男神)とイザナミノミコト(女神)の間に最初に生まれたのが、実はこの「えびす様」でした・・・そんな不具の身体のせいで、こともあろうか葦の船に載せられて海に流されてしまうんですが・・・たまたま流れ着いた先が、今の兵庫県西宮でした。 そしてそんな悲しいエビス様をお祀りしたのが、西宮神社=蛭子神社になります。
    なのでここは全国にあるヒルコ祭神をお祀りする総本山になります。
    「えびす様」に関しては、他にも色々言い伝えがありますので興味があれば、検索してみてください。

    PCで多変換される「えびす」と言う漢字は、もともと「蛭子=エビス」から派生した当て字で、「恵比須や恵比寿」になっととも言われています。 でも「えびす様」本来、海の神・・・豊漁を祈願する神様なので鉱山に付けられるのは珍しいです。

    今回行った「恵比須鉱山」・・・元々はこの鉱山の近くに、地元の方に「蛭子蔵=えびすぐら」と呼ばれる厳しい崖山がありました。鉱山を命名するときは、地域の場所や地名を鉱山名に取り入れる事が多いのでこの「蛭子蔵」からきていると考えられます。

    ここまで来て余談になるが・・・
    私が現地まで行けていない、そして生きている間に行けるかどうかも分からない鉱山の一つに・・・黒部餓鬼谷にある「大黒銅鉱山」があります。
    ここの鉱山の坑道内には、今でも「ここで採取製錬された銅で作られた大黒様と恵比寿様が坑道に祀られている」とのうわさがある鉱山です。
    これまたとんでもない高所と悪路の、私の中での最高グレードに位置する場所です。スゲー行ってみたいが超困難な場所です。
    でも実際に行っている人がいるんですよね! 鉱物マニアでなく山屋(登山家)さんですが・・・
    リンク貼っておきますので、興味あれば見てください。 ここは恵比寿の滝と呼ばれる大きな滝もあります。
    http://pro.tok2.com/~kurobe/sawa/2005/kurobe-gakidan-20050730.htm

    なんか「えびす」つながりで無理やり引っ張回しましたが、楽しんでいただければ嬉しいです。
    最近の私のお腹は、ちょっと「えびす様」のお腹のようになって来た感じがします。 これはめでたい!!兆し・・・(T_T;)/

    では本題「恵比須鉱山」
    速報Vol.1では広大なズリの写真をアップしましたが、他にも鉱山に関わる方なら見覚えがある施設もありました。

    火薬庫に近づく.JPG
    周辺調査するとまず目に留まるのはこの施設
    なんだかわかりますか、もう少し近くから見てみましょう!

    火薬庫の建物.JPG
    火薬庫 倒壊.JPG
    コンクリートの柱を四隅にたてて、そこに金網を張ってから、上からモルタルでコーティングしていました。
    1棟は半壊状態で、もう1棟は完全に崩れて基礎のみが残る状態! この建物は個々に石積の壁で仕切られています。

    火薬庫前広場に到着.JPG
    答えは火薬庫の遺構です。
    鉱山で取り扱う火薬類(ダイナマイト)は規則でそれぞれ決まった方法で管理保管が義務付けられています。
    ※法律の本文は難解なので、以下簡単に書いてます
    その中でもよく言われるのが爆薬(ダイナマイト)と起爆薬(電気雷管・火工雷管)を別々に保管管理するというもの
    ダイナマイトは比較的安全で、極端な話これを火にくべても燃えるだけで爆発したりしません。 そんな「おとなしい子」を怒らせて大爆発させるには、ある種のトリガーが必要になります。 それが起爆薬である専門用語で言われる火工品というモノです。
    「雷管=らいかん」とも言われ、これが爆発することで、おとなしいダイナマイトを怒らせて大爆発させます。外見から見た感じで簡単に言うと爆竹みたいな物です。これだけでも人間の手なんかは簡単に吹き飛びます。

    もし何かの間違いでどちらかが爆発しても、一緒にしておかなければ大爆発にはなりません。その為このように保管場所を分けて保管することが決められています。 もしどちらかが盗まれる事があっても、両方なければ使えないのです。
    取り扱うには国家資格がいりますし・・・現在主流の電気雷管は、静電気や落雷のサージでも誤爆なども起こしやすいひじょうにデリケートな物です、発破作業にはいずれも慎重な作業が伴います。

    この写真の建物には保管庫の周囲に石の積みの塀、その周囲にはさらに杭が打たれて有刺鉄線が張り巡らされていたと思います。 しかし今回の調査では有刺鉄線は見つけられませんでした。

    これを見つけたのは息子で、「場所はビンゴ!!」ここが恵比須鉱山である事が確定した瞬間です。
    宿舎や配電設備からはある程度離して設置する火薬類保管所、実際に使用したしていた坑道からは、大体さほど離れてないと思われる場所に設置されてます・・・そのため周辺を探しました。
    落ち葉や倒木に埋もれかけながらも、当時の鉱夫達が通った踏み分けは今でも存在しています。 所々に鹿の糞が点在し、野生動物の通り道として使われているのでしょう?
    この事はこの場所に人間が入ってない事も示しています。


    IMGA0127.JPG
    送電用もしくは電源供給用の電柱に付けられていた、牽引用「玉碍子」これが付いているという事はここに送電するための電柱か何かがあったと考えられます。
    索道残地ワイヤー.JPG
    鉱山道には索道用ワイヤーが落ちていました。 張力がまだ保たれているので、末端はどこかにつながっていると思います。
    次回は末端も探してみたいです。そこには何があるかとても楽しみです。
    この鉱山には4〜5本の坑道があると文献には記されていますので探すのが楽しみです。

    IMGA0113.JPG
    ズリの真ん中に立つ「ひこばえの楢」たぶん楢だと思います。 何度も枝を払われたりしても、次から次へと脇芽がでて、もうそれからは切られることが無かったんでしょうね!
    こんな立派な台場楢に育ちました。

    IMGA0131.JPG
    傾斜坑道に近づく息子、滑り落ちる可能性があるのでかなり慎重に進んでいます。
    IMGA0134.JPG
    途中で水平?になっている。それとも崩れた物が堆積している?上から見るだけではよくわからない。
    恵比須 建物基礎1.JPG
    Vol.1に掲載した事務所跡と思われる石垣を下から撮影した。 近づくと思っていたよりも立派で驚いた。

    それでは今回はここまで・・・・
    再調査は来年になりそうです。


    鉱物採集をやり始めた頃は、地元の鉱山にあまり寄りつく事はありませんでした。
    かつては良品を求めて、山梨県や福島県など東北地方などの有名産地に足げなく通い鉱物を物色していました。
    今ではそんな頃の産地はすべて採集禁止や枯渇して採れなくなっています。
    一部の心無いコレクターなどが原因ばかりでなく、にわかコレクターの存在も大きいと思います。 一瞬の熱の入れようで多量の標本は採集するが、後が続かなくてラベルでの表記の無いまま、どこかに忘れ去られている標本が世の中にはたくさんあると思います。 宝探し的な感覚で採集するのは、だれもが初めは面白いですが・・・結局、熱が冷めてしまう! これはちょっともったいない気がします。
    私は昔から同好会に属してませんが、折角同好会という情報交換の場があるなら、ただ採集するだけでなく、鉱山があった地元の方とのかかわりや採集マナーなど・・・標本の整理や、オークションで金に換えるだけの標本の扱い以外の楽しみ方などを伝えて行かなければ・・・結局こんな厳しい産地しか残らなくなってしまうのが現状です。

    若いころ私自身も、結局このような波に呑まれたコレクターにすぎませんでしたが、たまたま地元にも、あまり人が入ってない鉱山が存在する事を知り、このようなフィールドワークを含めて楽しむ方法をしています。
    あくまでも自己満足ですが、いままで学んできた鉱山学を活用しながら、今後忘れ去られてゆく・・・地元にあった鉱山を地質学含めフィールドワークを通して、興味ある方の記憶にとどめてもらうための活動もしてゆくつもりです。
    今後の活動にも皆さんの応援宜しくお願い致します。

    ではでは・・・















     
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