Lime JuiceLimeの活動日記
アウトドア・鉱物採集・鉱山探索・自然観察・廃墟・ガラクタ収集、その他なんでもあります。

| CALENDAR | RECOMMEND | ENTRY | COMMENT | TRACKBACK | CATEGORY | ARCHIVE | LINK | PROFILE | OTHERS |
岐阜高山方面 鉱山の調査 高根鉱山・秋神鉱山・その他 22:34
0
    何故か気温の差が激しいこの頃、変な気候が続くと、昔の方は「何故か地震が起こるのでは?」と思われる方が多いようです。
    またまた大きな地震が起きてしまいました。 これだけ科学が進んでいる世の中、地震予知は本当に出来ないのでしょうか?

    今回の、熊本での大きな地震で被災された方々には、心からお見舞い申し上げます。

    さて本題・・・・
    岐阜県で有名で大きな金属鉱山は?と聞かれたら、神岡鉱山と答えられる方は沢山いると思います。
    しかし、2番目、3番目に大きな鉱山はと言うと答えに詰まるはず・・・正解が解る方は相当なマニアか博学な方かもしれませんね!
    その一つ、旧高根村にあった「高根鉱山」を調査する事になりました。 
    調査のきっかけになった訳は、ある書物に掲載された記事に心を動かされた、「岐阜県の高山市から東に行ったところには、人里離れた辺境の山中に、最盛期には1000人を超える人たちが働いていた幻の鉱山があった・・・」
    山深いその鉱山には当時でも、限られた方でしか行く事が出来なかった、標高1000mを超える深い谷の先に、とんでもない鉱山町が形成されていて、大きな精錬工場や選鉱場が谷沿いに完備され、その谷には川床に石を並べ、石畳み状にする事で強固な基礎を築き、工場が立ち並んでいたと聞いた。 学校や娯楽施設もあったと言うが、現在に至ってもその全貌が全く明らかにされていないのはなぜだろう?
    何度も閉山の危機を乗り越えて採鉱をつづけていたが・・・最終が的には異常湧水の為、排水困難となり閉山している、しかしそれから数年後に、三菱が鉱脈有望から再開発を狙い・・・横穴坑道を掘る事で、水没した坑内から排水を試みながら採掘しているが、最終的には鉱毒排水の為に閉山している。
    その胡乱な情報源を頼りに、とりあえず行き当たり現地調査を強行した・・・強行したのは訳があり、大凡な場所さえ確認できれば、山ビルや危険なダニの活動が活発になるまでに、何とかゴールデンウィークには現地調査に行きたと思っているからだ・・・

    インターネットや県の図書館では、個人出版の伝記や地元地史までにはたどり着く事が出来ない、限界を感じていた所・・・あるネットワークから、高山市内にある図書館には、特別に地元に関する資料室が常設されていると聞いた。
    そしてやはり現地の方が有力な情報を持っているとの事で、これは早々に聞き取り調査をしないと思い車を走らせ高山に向かった。


    KIMG0247.JPG
    急いで来たが、開館前・・・駐車場で満開の桜を見ながら開館を待った・・・・
    明治時代の和洋建築の素晴らしい建物だ・・・

    KIMG0248.JPG
    ここは高山市の旧市役所、その前は学校であったと言う事を、となりの男性に教えていただいた。
    KIMG0249.JPG
    ここは特別に設えられた地元関係の資料室で、よく整理されて素晴らしい書物にあふれている。
    司書さんの対応も素晴らしく良かった・・・感謝です。

    KIMG0250.JPG
    内装も床張りも品格のある素晴らしい作りだった。
    KIMG0251.JPG
    高山鉱山史など地元の資料も豊富で、ここでも十分に1日つぶせる充実感はあったが、現地調査を控えているので資料はコピーを取らせて頂き11時には後にした。
    ざっと資料に目を通すと、道後川上流に位置しているが、上流にある村に向かえばいいのか、下流の村なのか? ここに来るまでに判断に迷っていた事も解消され・・・
    胡桃島地区を経由して、秋神温泉にルートを取った。
    その辺境の鉱山は、川を下らず「五十三峠」を越してこちらへ製品を運んでいたらしい。

    IMGA0429.JPG
    高山市内国道156号線から、国道361号にルートを取り高根村方面に向かう。
    沿道に咲く桜は満開で、走っていると爽快なルートだ・・・

    IMGA0430.JPG
    チェックポイントの秋神温泉に到着する。 この前の道を進むのだが、道の状況を作業していた従業員の方に聞いてみた。
    そうした所、自分のお父さんである旅館のご主人を紹介していただいた。
    秋神温泉は冬場の「氷点下の森」というイベントが有名で、テレビ番組でも何度も紹介されている有名な温泉です。
    主人の小林さんはこのイベントの仕掛け人、冬場には氷点下20度以下にもなるこの地の極寒の世界を素晴らしいい芸術作品に変えている。 地域の活動にも活発で、鉱毒問題に関する事でも活動されている素晴らしい方だ・・・料理もさることながら山菜やキノコにも精通している。
    そんな博識の方を突然紹介されてお話を聞く事になった。

    IMGA0431.JPG
    やはり鉱山はこの先にあった。
    製錬された銅は、大きな銅板に加工されて、運搬人が引く牛の両側に紐で吊るし付ける方法で、この先にある五十三峠を通って、この地を経由され国に卸されていたと聞いた。
    この白樺道を、当時の牛たちが往来していた気分を味わいながら・・・そして何かの痕跡を探しながら、今回は五十三峠の登り口を目指した。
    ※「五十三峠」この鉱山の為に開発された製錬銅板運搬道路で、「つづら折りの道は、折り返しが五十三か所」あるのでこの呼び名で呼ばれていたと言う。このような情報は資料には記載されてなく、現地ならではの情報である。

    IMGA0432.JPG
    道にはよく目を凝らすと、このような赤さび状の重たい鉱石が落ちている。
    IMGA0433.JPG
    息子が見る方向には、三菱が採掘していた比較的新しい時代のズリが見えた。(正面の斜面)
    ここから右にルートを取ると、五十三峠に入って行ける。
    実は今回は確認できていないが、この先に三菱が再開発の為に開けた坑道があるらしい・・・鉱毒問題があり現在は強固にふさがれているので、こちらに水は流れていないと聞いた。

    IMGA0434.JPG
    黄銅鉱が付いた鉱石が沢山落ちている。
    IMGA0435.JPG
    金属鉱山にありがちなズリである。
    最近人が入った形跡はなかった。

    IMGA0436.JPG
    左はカラミと銅の鉱石、不思議な事だが二次鉱物の生成が少ない。
    IMGA0437.JPG
    写真で再現できなく恐縮だが、トカゲ珀状の色合いも見せる鉱石も沢山落ちている。
    IMGA0438.JPG
    大して珍しい物が取れないので、鉱物採集マニアの目に留まらないのかも知れない。
    IMGA0440.JPG
    大きなカラミもそこらじゅうに落ちている。
    IMGA0441.JPG
    小さな青い瓶を発見した。
    IMGA0442.JPG
    あちゃーピントずれです・・・
    瓶底には、「ナーリング加工」が無く古い物と確認できる。
    その他にも、緑色の割れた瓶の破片など、色々と落ちていた。

    IMGA0443.JPG
    小さな水晶が生えた、石英脈がある鉱石
    IMGA0444.JPG
    この紐の様な物、ダイナマイトの起爆用電気信管の信号線
    発破を使用していた証拠です。

    IMGA0445.JPG
    ズリの対岸の石垣
    ここにも何か建物があったと思われます。

    IMGA0446.JPG
    毒草のハシリドコロが可憐な花を付けていました。
    新芽を山菜と間違えて中毒が後を絶ちません・・・副交感神経に作用するアルカロイドを含むので、許容量を越すと瞳孔が開いて、気が狂ったようになります。
    容量内なら良薬である薬草になります。

    IMGA0447.JPG
    何かの痕跡を探りながら歩きます。
    IMGA0448.JPG
    ここのも建物があったと思われます。
    IMGA0449.JPG
    帰りの道で輝石を拾いました。
    IMGA0450.JPG
    クマ棚かな?

    今回訪れたこのズリは、三菱が再開発の時に出た物かもしれません。
    核心部は、五十三峠を越し、山の向こう側にある所、この場所から数時間歩き、厳しい谷をにあると聞いています。
    そこにははたして古の鉱山は存在するか・・・この目で確かめたいと思います。
    天気が良ければゴールデンウィークに沢登の準備で、核心部に再チャレンジの予定です。

    ご期待を・・・

    番外編
    帰りに寄り道編
    「秋神鉱山」
    ここも銅を採掘していた鉱山です。 川の対岸にあって場所がよくわからず苦戦していると、草取りしている60歳くらいのおばあさんが、自分の土地を抜ければ行けるとのことで、お言葉に甘えさせて頂きました。

    IMGA0451.JPG
    手前は流水豊かな川で渡河は不可能
    対岸から回り込みました。
    写真の中心の暗部が坑道です。

    IMGA0452.JPG
    水際ぎりぎりをヘツリ・・・坑道を身近で確認してみます。柳の木が手強い!
    IMGA0453.JPG
    岩は花崗岩だと思われる。
    IMGA0455.JPG
    坑道上部の岩が、木の根の入り込みで今にも崩れそうなので、内部調査は断念!
    ここにきて、ヘッドランプを忘れてきた事に気づく・・・(笑)

    IMGA0456.JPG
    内部は坑木が残っている。 壁にはそこらじゅうが二次鉱物の緑のシミが沢山付いていた。
    IMGA0457.JPG
    同じ場所では2か所ほど坑道を確認できた。
    IMGA0459.JPG
    頁岩状にはがれる?
    部分的に二次鉱物が付いていた。

    IMGA0460.JPG
    同じ道を戻ったが、上部にもう一か所坑道を確認している。

    さらに番外編・・・・帰りに寄り道・・・

    会社に来ているダンプの運転手から・・・東海北陸道の、高鷲ひるがの高原から荘川方面に向けて、高速道路の2車線化工事が始まっているとのこと、トンネル工事などで取りだされた残土から・・・「自分には解らんが・・・硬い変わった岩石が出ている」との事、一部は埋め戻されているが、所どころに廃土置き場があり覗いてみたら・・・と言われ・・・帰りに寄り道してみました。

    IMGA0461.JPG
    残土置き場
    IMGA0462.JPG
    小さな黄鉄鉱のサイコロ状結晶が沢山含まれていました。
    IMGA0463.JPG
    その他はピンク色したカルサイト
    蛍石と思われる物など、探せばもっと何か見つかるかもしれません
    平日は工事関係のダンプがひっきりなしに出入りしているので、おすすめ出来ませんが土日は工事がやっていない場所もあるようです。無理に入ってのトラブルは避けてください。
    残念ながら時間切れで、帰路につきました。

    ではでは・・・


     
    | 鉱山 | comments(2) | - | posted by Lime (ライム)
    | 1/2 | >>