Lime JuiceLimeの活動日記
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UVライトに反応する物 16:09
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    今年の夏は、はっきりしないお天気で、しかもこの東海地方ではとても蒸し暑い日が続いています・・・

    関東では、なぜか長雨が続いて、しかも気温が低い状態が続いているようです。

    先日は、愛知県でもバケツをひっくり返したような雨で、出張先でビックリしました。

    これも温暖化の影響で、日本の気候も年追うごとにドンドンと亜熱帯化してきているような感覚を受けてます。

    そのうち豪雨だけではすまないような、人間にも危害を加えるような虫も繁殖するようになるかもしれませんね・・・

     

    突然ですが、鉱物採集をしていると、色んな小物が役に立つことがあります。 ルーペなどはおなじみですが、UVライトを持っていると現場での鉱物の同定作業に役に立つことがあります。

    実際に、アメリカなどではタングステンやウランを採掘しているような鉱山で、UVライトを使った探鉱方法が行われていました 

    趣味の世界でも、1台あれば夏休みの自由研究のネタぐらいには使えれるので重宝します。

    灰重石を採掘している鉱山では、必ず置いてあって坑道内を照らすと見事なイルミネーションを見る事ができました。

     

    鉱物種によって、紫外線に反応した時に出る色は変わってきます。 なのでよほど特殊な物で無い限り、慣れればその蛍光を見る事で同定も行えるようになります。

    でも鉱山によっては、蛍光を全く出さない鉱物もあるので、早合点は禁物ですが・・・

     

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    タングステンを採掘していた内外海鉱山は陸路で行くには大変な場所にあります。 なので以前はカヌーを使って海からアプローチして行きました。(ベースの大きな煙水晶は同じ福井県産)

    大きな坑道の中、堆積したズリから見つけた輝水鉛鉱の平たい結晶が付いた鉱石ですが、採集した時からなぜかとても重たくて気になっていました。 採集当時は錆びついた表面に赤茶色にくすんだ石英の脈が入っているように見えました・・・UVライトを照らしたら、実はこれが灰重石でしたのでビックリした覚えがあります。

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    UVライトを照らすと・・・

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    見事な白色に光ります。

    部屋の照明を付けていても十分に確認できる鮮やかさ・・・

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    次は岐阜県のH鉱山ら採集してきた、握り拳よりも一回りほど大きな石英塊です(手前)

    この石英も現地で確認できなくて、家でUVライトを照射しました。

    出鉱量がかんばしくなかったせいか、情報量も少ない場所だけに、現場では採集が難しかった思い出があります。

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    比較的白が多い石英塊なのだが、UVライトを当てると、灰重石はこんな所に隠れていました。

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    ここにあるとは肉眼じゃあ全然解りませんでした・・・

    でも付いててラッキーです!

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    このちょっと淡いグリーンガラス玉、チェコスロバキアで昔に作られた物なんですが、ウランガラスと言います。

    古い物で気泡が少ない物は特に価値があって、これは人形の眼球部分を作るために作られた物と言われています。 日が沈む前や日の出前の、紫がかった光を受けると怪しげに光るそうです。

    ガラスは非晶質なのですが、ウランを極少量混ぜる事でこのような物が作られます。 今では珍しさから観賞用に用いられていますが、昔は放電照明(アーク照明)の紫外線を受けて発光させるためのレンズなどとして使われていたそうです。

    なので、紫外線を照射するとこいつも怪しげに光ります。

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    日本でも昔はウランガラスが作られており、そういったものがまれに古い家から見つかる事もあるので面白いです。

    よくウランガラスの危険性が揶揄されることがありますが、私たちが日常生活で食べ物から摂取しているカリウムの同位体、カリウム40と同等の被ばく量とされており、さほど危険性を気にしなくてもいいレベルと言われています。

    でもやばい物も存在します・・・古い物で・・・黄土色に近い黄色をした「ウランタイル」と言われるものや、濃い朱色をしたお皿の「フェスタウエア」と呼ばれるような物は、俗にいうイエローケーキ(UO3)を使用した物で、放射線量が半端ないのでちょっと気を付ける必要がありますが、とても珍しいので見つけたらゲットしておく必要があります。 珍しいのでかなり高価に取引されている事もありますので、日本のオークションではなかなか見つかりません・・・ebayなどを探す必要性があります。

    余談・・・黄色の施釉した水盤でグッピーを飼育していたら、長生きしないばかりか、生まれてくる子が奇形ばかり、調べたらこの水盤の釉薬に、この強烈な酸化ウラン釉を使っている物だったというちょっと怖い話があります。

     

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    強烈な紫外線レーザーを照射させるとこのように見事に輝きます。

     

    そうそう、冒頭で話した「温暖化が進むと危険性がある虫」がでてくるという話・・・

    それはマラリアです・・・ハマダラカという蚊が媒介する事で、マラリア圏内ではよく知られていますが、まだまだ日本では、まだまだなじみが浅いです。

    それと・・・・マラリア・キャリア(マラリアに感染した人)とマライア・キャリー(歌手)とは、全然別物なので気を付けてください(笑)

    いつも夏にやってくる終戦記念日では、戦争体験の話を特集されて耳にする事があります。 南洋諸島に戦争に送られた方が「マラリア」に感染して、高熱が出てひどい目にあった話をよく聞く事があります。

    マラリアはマラリア原虫が人の赤血球に寄生する事で発症します。(ザックリ書いてます・・・本来はもっと複雑)

    多くの寄生虫は赤血球を食べる時にでる、「ヘム」という物質が寄生性原虫の毒になっているんので、普通の寄生生物は取りつく事が出来ません。 しかしマラリア原虫は、この「ヘム」を分解する酵素を自身で作ることができるために、こいつだけが赤血球に寄生できると学生の時に学びました。

    熱帯にいくと、毒蛇などにはとても恐怖心を抱く事がありますが、それよりも小さな蚊から媒介する感染症の方がよっぽど人間にとって脅威になっていると思わないといけません。

     

    昔からマラリアの危険性は知られていましたので、色々な薬が開発されてきました。 その中でも有名なのは、キナの樹皮から抽出される「キニーネ」という薬が唯一の特効薬とされてました。 この薬品名を聞いてもなんだかピンッと来ませんが、「トニック・ウォーター」と言えば酒好きなら聞いた事はあるかもしれません。

    カクテルを作る時に混ぜるちょっと苦味がある炭酸飲料です。 甘みが強い物をさっぱりしたドライ感を出すときに使われています。 昔は本当の「キニーネ」が使われてましたが、現在では副作用など処々の問題から使われなくなってきました。 でも食品添加物としては「キナ抽出物」として日本では認可されており、「キナ成分の何か?」が入っているのは間違いないという事です。

     

    ※よく似た名前の劇薬「ストリキニーネ」とは構造式から違うので混同しないように・・・こちらはマチンという植物から採取される物で、動物の安楽死などに使われる恐ろしい薬品です。 人が経口摂取すると、筋肉に激痛が走り、体が弓反りに反り返って死に至ります。 安楽死させるときは鎮痛剤や麻酔剤と併用するらしい 

    昔にキニーネとストリキニーネの合剤がマラリア治療に使われた事があるので、よく混同される間違いが起こります。

     

    キナは苦味がつよい物質としても有名で、極少量でも感じる事が出来る苦味成分として有名です。

    なので、トニック・ウォーターも苦味があります・・・解り易い表現だと「グレープフルーツ」の苦味に近いかもしれません。

    マラリア圏では、昔からマラリア予防として飲まれていましたが、やはり高価なキナの含有が少ない物さらには、他の苦味物質を添加したマガイ物も出回ったそうです。

    そんな中、夕刻や朝日が昇る前の薄紫空にグラスを向けて、その光の具合で本物か確かめていたといった話も聞いたことが有ります。

    その光と言うのが、実はキナの水溶液が放つ蛍光で、紫外線が多く含まれる太陽が昇る前の光で確かめる事が可能だったそうです。

    なので折角なので、梅ジュースを割って飲むときに使っているトニック・ウォーターにキナ抽出物が含まれているかも確認してみました。

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    使ったのは「ウィルキンソン・トニック」と「シュウエップス・トニック」の2種

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    シュエップスのほうには、内容物の表記が無し・・・でも瓶がレトロでカッコイイ

    シュウエップスには、原材料名表記に「苦味料」と記載 たぶんこれが「キナ抽出物」と思われる。

    さすがに「キナ抽出物」とは記載されていない。

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    確認の為、同じガラスコップ注ぎ、側面から紫外線レーザーを照射してみた

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    結果は・・・・

    ウィルキンソンは、全体的にボワァと光るがキナ水溶液特有の青色蛍光が弱い感じがする。

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    次は・・・シュウエップス・トニック

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    直進性のあるレーザーの部分に、チンダル現象のような青い蛍光ラインが現れて、全体的に輝く蛍光も強かった。

     

    今度は上から、短波紫外線を照射

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    上部からUVライトを照射すると明らかに右側のシュウエップスの方が青く輝いている。

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    部屋の照明を暗くするとより顕著に出ました。

    深海生物や夜光虫のプランクトンの発光を思わせるような、鮮やかな青色が素敵です。

    でも意外と飲み比べても、その味に差が無いのは、ウィルキンソンがいかに上手くフレーバーを調整しているかが伺い知れます。

     

    この様に紫外線を使う事で世の中には、物の真贋(本物かニセモノ)かを見分ける方法や分光光度計と言うような、測定装置で物の含有や濃度を測るために使われています。 普段目にしている物でも、隠れキャラ的な所で使われていたりしています。

    紫外線に反応するインクは、紙幣の偽造防止などに使われているような場合が多く、特殊な物が多いので、一般の方では入手が難しい物も有ります。

     

    重油や灯油を硫酸で処理して、不正軽油を作る事が出来ますが、それの防止策としても蛍光剤が使用されています。 

    これは揮発油税の脱税の温床になっているのと、処理して残った硫酸ピッチと呼ばれる環境負荷が大きな廃棄物の不法投棄などから、そんな燃料を使ったら解るように、重油や灯油には「クマリン」という蛍光剤がわざと添加されています。 なのでこれらを処理すると、クマリンは普通では消せないのでUVライトをあてて黄色く光るか確認をします。 光ったら不正軽油、もしくは純正軽油に灯油を混ぜた物として当局にしょっ引かれます。

    でもこの「クマリン」を特殊な方法で分解除去する、通称「クマ抜き」という荒業が存在するのも事実

     

    見えないスタンプ・・・とにかく「並んで待つのが死ぬほど嫌いな」私たちには、特に縁遠い・・・「某ネズミーランド」の再入場スタンプ・・・や若いころよく行ったクラヴでも、手の甲にペタンと押してくれると、その日は外に出ても再入場が可能でした。

    帰ってくると、体の大きな強面の店員さんが、手の甲にブラックライトを当てて確認する時に浮かび上がるデイトマークが不思議な感じがしてました。こんな物にも利用されてました。 

    でもその時の悪友が・・・外のバーで誤って度数の強いウォッカを溢し手にかけた時は、印字が溶けてしまいスタンプが流れてしまったのを見て、アルコールに溶けるんだと感心してました・・・この時ばかりはさすがに再入場不可でした(苦笑)

     

    実はこんなんもあります・・・参考までに・・・

    何気ない「ゆうちょ銀行」からのダイレクトメールですが・・・パッと見は、何も書いてない様な場所に、UVライトを照射するとこんな鮮やかなバーコードが現れます。 印刷は透明なんですが、蛍光発光は赤く鮮やかに輝きます。

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    これも溶剤で拭くと消す事が可能です。

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    その他・・・清涼飲料水やお菓子のパッケージにも隠れロットが印刷されていたりします。

    同じようなインクもを使ったペンが販売されているので・・・私が社内で配布した資料にもさりげなくチェックを入れたりして偽造・改ざん防止に使ったりしています。持っているUVライトの波長によっては、発光しない物もあるので注意が必要ですが・・・

    長波で光らなくて、短波で蛍光する物や、波長特性のシャープな物は、改ざん防止力が高いです。 一般の人は短波UVライトなんて持ってないので・・・

    まぁ・・・こういったものは悪用厳禁なので良い子達は正しく使いましょうね?

     

    長文・・・ここまで読んで頂きましてありがとうございます。

     

    ではでは・・・

     

     

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